全日本印刷工業組合連合会の「組合員台帳調査集計結果報告書」によれば、同連合会参加組合員が保有する印刷機械の保有台数は、2002年時点で23,335台である。その内訳は、オフセット枚葉印刷機(自動)が15,325台で全体の65.7%を占めている。全日本印刷工業組合連合会傘下組合加盟企業には、フォーム印刷主体の企業もあるし地方の一般印刷会社がフォーム印刷機を設備してBF印刷を行うことも珍しくはないので、フォーム印刷機の保有台数が1,308台(5.6%)と、オフ輪の773台(3.3%)よりも高くなっている。
各印刷機保有の時系列変化を1社平均保有台数で見ると、全体としては2000年まで増加傾向で推移したものが2002年にはかなり減少している。
機械別に見ると、オフセット枚葉印刷機の減少が減少台数全体の7割を占めている。供給力過剰の中でオフセット印刷機の機能・性能向上があったことが基本的要因としてあるが、枚葉機の場合には小規模企業の減少も大きな要因になっている。一方、オフセット輪転機の1社平均保有台数は増加している。また、E-PRINT、ドキュテック,電子印刷システム,クロマプレス,デジタルカラープレス,インフォプリントなどの「電子印刷機」も保有台数が増えている。
全日本印刷工業組合連合会傘下組合加盟企業の主力設備はいうまでもなくオフセット印刷機だから、オフセット印刷機については、枚葉機、オフ輪ともにサイズ別、ユニット数別の保有状況を調べている。
2002年において、サイズ別、ユニット数別保有台数で最も多い機械は4裁以下の枚葉単色機の6,448台で、オフ輪を含む全体の40%を占めている。次いで、半裁枚葉単色機の1,793台(11.1%)、半裁2・3色機の1,480台(9.2%)、そして全版枚葉4色機の1,415台(8.8%)、全版2・3色機(1,249台:7.8%)、半裁4色機(1,217台:構成比7.6%)と続いている。全版、半裁の2・3色機、4色機の合計台数は5,361台(33.3%)で全体の丁度1/3を占めている。生産能力の意味では、オフ輪を別にすれば全版、半裁多色機が中小印刷業界の稼ぎの中心である。
以上は、全日本印刷工業組合連合会加盟印刷組合10000社弱を母数とするデータだが、「組合員台帳調査集計結果報告書」と工業統計とからJAGATが推計した日本全体における平版印刷機械の保有台数は、枚葉印刷機が50000台強、オフ輪が約1500台である。枚葉機を見ると、最も多いのが4裁以下の単色機で約37000台、枚葉機全体の63.4%と圧倒的な多さである。半裁以上で保有台数が多いのは半裁単色機で4200台強あり、次いで半裁2・3色機そして全版4色機以上、半裁4色機以上となっている。 オフ輪の色数別台数は4/4以上が全体の89%を占め、サイズ別には全版と半裁で全体の84%を占めている。
印刷機械の台数ではなく、その生産能力において4色以上の印刷機械の持つ意味は大きい。また、枚葉機とオフ輪とを比べればオフ輪の影響が非常に大きいことも明らかで、このオフ輪台数の増加、性能向上が印刷業界の供給力過剰に大きく効いている。
1994年以降の8年間における枚葉印刷機、オフ輪の生産能力を、1994年を100として計算すると、技術革新による機械の機能・性能向上を計算に入れなくても、業界全体としての生産能力は1994年から2002年で18%高まっている。この間の技術革新による生産能力アップの効果を考慮に入れれば3割程度の生産能力アップにはなっているのではないだろうか?
注目すべきは、枚葉印刷機の生産能力が2000年→2002年で低下したのに反して、オフ輪の生産能力が上がりそれが平版印刷機の生産能力全体を押し上げたという点である。そのことによって、プロセスカラー印刷市場における枚葉印刷機とオフ輪との生産能力シェアにおいてはオフ輪のシェアが高まっている。
(印刷マーケティング研究会会報「FACT」より)
2004/06/26 00:00:00