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制作側から発注側にたって思うこと

◆高木 直子

●私が今の仕事にいたるまで
私が,DTPエキスパート認証試験に合格してから,もうすぐ1年になります。毎日の業務に追われていると,本当に短く感じてしまう1年ですが,社会は大きく動いているのを感じます。その中で,自分なりの目標や課題を持っていきたいと思い,この試験を受験しました。
私は現在,文具・事務機器などのメーカーで販売促進の仕事をしています。チラシや広告,カタログの制作や発注も主な仕事ですが,それ以外にも社内ホームページの企画・更新や,営業で使用するための提案書の作成,展示会の準備や進行も行っています。そのために,一つのことを深く掘り下げる時間はなかなかとれないのですが,総合的に販売促進を考えていくには,良い環境にいると思います。
もともと,私は約3年間ほどデザイン会社でエディトリアルデザインの仕事をしていました。その後,仕事上でホームページの作成をする機会もあり,未知のことばかりで大変でしたが,DTPとWebは似ている点も多く,今後さまざまなことができそうな可能性を感じました。
しかし最終的には,印刷物やホームページなどの媒体を,いかに上手く販売に生かしていくかということに関心を持つようになり,現在の販売促進の仕事につくことになりました。
私は以前,DTPデザインの仕事をしていた時にDTPエキスパート認証試験を受けたことがありましたが,勉強不足で不合格になってしまいました。そして,その後しばらく経って,今の仕事についた時に,もう一度DTPと印刷の知識を整理しておきたいと思い,再度チャレンジしました。得に苦手だった,「コンピュータ環境」をしっかり勉強することによって,この時は合格することができました。
それにしても,コンピュータの世界はハードウエアもソフトウエアもどんどん進化しています。その中で重要なのは,全体の動きと重要な部分を押さえることと,自分の仕事や興味に関連した部分を詳しく知ることだと思います。そうした知識の整理と重要部分の把握にDTPエキスパート認証試験と,その更新試験は非常に有効であると感じています。

●発注側に立って思うこと
現在の仕事では,チラシや広告などのデザインは外部に発注する場合と,社内で制作する場合とがあります。もともとDTPとは,分業化されていた印刷物の制作の流れを,個人や一企業のパソコンで統合してできることを目的に発展してきたものと言われています。確かに個人的に何かを制作する場合や,個人経営のショップなどでは,これは可能で非常に有効であると思いますが,数多くのカタログやチラシを制作しなければならない企業の場合は,実際的には不可能ですし,効率もよくありません。やはり,デザインはデザインのプロに,印刷は印刷のプロに任せた方が仕上がりも美しく,時間とコストを考えた上でも合理的といえます。その中で,どの部分を外注するのか,どこまでを社内でするのか。そして,最終的にはどのような制作物を仕上げるのかを的確に判断することが,企業の中で制作物を発注する側からは重要なことだと感じています。そのために,発注側としても印刷物を見る目と,DTPや印刷の流れや仕組みについて知っておく必要があると思っています。
私はDTPの制作側の経験があるので,どうしても「制作物」としてのクオリティの高さに目がいってしまいがちなのですが,最終的には,限られた予算の中でより販売促進の効果の高いものを制作することが目的です。そのためにも,こちらの目的を明確にした上で,デザイナーや印刷会社の方と上手くコミュニケーションをとって,違った立場からの提案をもっとお聞きしたいと思っています。また,DTPと連動してホームページの方を充実させていくことも今後の課題です。
最後に補足としてですが,私の今の仕事は,紙のリサイクルに関連していますので,環境にやさしい印刷物や再生紙の利用についてもこだわっていきたいと考えています。

 

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2004年8月号


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2004/07/26 00:00:00


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