最近はメールマガジンが顧客や会員への情報提供のツールとして非常に多く利用されている。しかし、情報が氾濫する昨今、メールでは伝えたい情報が膨大な数のメールの中に埋もれてしまい、きちんと届けられないケースが増えてきている。このような状況の中、伝えたい情報を顧客へ確実に届けられ、しかも他の情報に埋もれることがなく、さらにメールアドレスが不要のため個人情報漏洩のリスクを気にすること無く顧客に情報発信をするツールが出てきている。
プッシュ型の情報提供ツールは今までも存在したが、基本的にはメールと同様にテキスト形式の情報を送るツールであった。ブロードバンドが普及した現在では、送れるコンテンツの情報量が増え、表現力も豊かになっている。さらにブロードバンドの常時接続という特徴により、プッシュ型で定期的に情報を伝えやすい環境を整ってきた。
ブロードバンドを活用したプッシュ型情報配信ツール「PuCa」とは、株式会社アルファブリッジが提供するツールである。届けたい情報をダイレクトにパソコンに届けることができる情報配信サービスである。従来のメールマガジンではメールアドレスの取得など個人情報を取得する必要があったが、PuCaでは個人情報レスで、利用者が希望する情報を届けることができる。利用者は、専用ソフトを自分のパソコンにインストールし、欲しいコンテンツを登録するだけで自動的にコンテンツが届くようになる。
PuCaの特徴は、コンテンツがパソコンのデスクトップ上にダイレクトに届くことによる開封率の高さにある。メールソフトを使わないため、他のメールに埋もれることが無い。また新着を知らせるポップアップ機能、コンテンツごとのアイコン自動生成機能などで開封を促す仕組みになっている。
旅行最大手の株式会社ジェティービーでは、2003年から新規顧客拡大・囲い込み策としてブロードバンドを活用したPuCaでの情報配信を開始。2004年から顧客DBと連携させたロイヤルカスタマー(お得意様)への育成・継続の施策として情報配信を強化する計画だという。
旅行会社は、顧客のリピート率が比較的高く、予約に必要な個人情報や旅行履歴などの情報が蓄積しやすい特徴がある。このため継続的なコミュニケーションと顧客DBに基づく個別提案によって最適な関係を構築し、ロイヤルカスタマーとしての支持を得られる関係を作っていくことが重要な課題としてある。このため従来紙のDMではできなかった継続的な情報提供を、低コストでかつタイムリーに実現できるようにしたいという要望があった。
これを実現するにはメールマガジンでは限界があり、しかも情報漏洩などの懸念が高まっている現状も踏まえ、豊富な情報量によるコンテンツで直感的・視覚的に訴えることができるプッシュ型配信サービス「PuCa」を採用した。配信しているコンテンツは、パンフレットをそのままデジタルパンフレットとして閲覧できるようにしたり、さらにツアーガイドによるコメント映像を紹介するなど工夫を凝らし、訴求力を高めている。
新着ポップアップ機能などと合わせ、今までのメールマガジンによる情報配信に対して5〜8倍の開封率を実現できたそうである。
このようなデジタルDMが出てきた背景には、メールマガジンの限界、個人情報の漏洩への懸念、さらには多彩なコンテンツ表現力の必要性などがある。またプル型のWebでは積極的、継続的な情報配信の継続が難しいというがある。
ここで紹介した「PuCa」は、プッシュ型デジタルコンテンツ配信サービスとしていち早く出てきたものである。しかしこのような背景、特徴などから今後のプッシュ型のデジタルDMという配信の仕組みは、今後いろいろな会社からサービスが現れる可能性もある。また利用シーンもいろいろな用途で検討されていくと思われる。
2004/08/04 00:00:00