図1は、包装資材・容器の原材料別出荷量推移である。
資源環境問題との関係で、包装資材の原材料としての紙とプラスチックの競合の状況をみることができる。図1で見るとおり、紙とプラスチック以外の包装材料の利用は年を追うごとに減少している。「その他」については、使用量が少なくなったので2000年以降の統計では品目分類から項目が消えている。
紙とプラスチックについては、京都会議が開催され、所沢のダイオキシン騒ぎがあった1998年から2000年で紙の増加がプラスチックの増加を上回った。環境問題を基点として包装材料に大きな方向転換が起こったのかと見られたが、2001年以降、プラスチックはどんどん増加しているが紙は減少気味で推移している。
包装容器に関しては、どのような材料を使うかに関わらず使用材料総量を削減する方向で動くことは間違いないが、材料選択では、機能面での適否、コストそして資源環境問題との兼ね合いで選ばれることになるのだろう。これらの中では、機能面で包装容器の役割を果たせなければ他の要因如何は問題にならないという意味で最優先の選択要因であろう。もちろん、法律で使用が制限されているような材料の選択を排除した上での話である。コストと資源環境問題との兼ね合いは企業による判断の差が出てくるのだろうが、ごく一般的にはグレー領域のものであればコストが優先されるのは当然だろう。
紙・板紙とプラスチックの材料1kg当り単価の推移を調べてみると、いずれも単位重量当りの材料金額は下がっている。しかし、紙・板紙よりもプラスチックの下落率の方が大きい。1990年に対する2002年の単価で見ると、紙・板紙の下落率が15.8%減であるのに対してプラスチックは29.1%の低下で、紙・板紙の倍近い値下がりになっている。 先に触れた1998年から2002年の間の変化でもプラスチックの値下がり幅が紙・板紙よりも大きくなっている。
京都会議における二酸化炭素抑制や所沢のダイオキシン騒動に合わせたように拡大した包装容器の紙・板紙需要だが、それも一時の状況に過ぎず、やはり大勢としてはコスト低減の大きい資材の方に需要が流れているということだろうか?企業の環境問題への対応に関しては、マスコミでの問題の取り上げ方が大きな影響力を持っているということでもあろう。
(マーケティング研究会会報「FACT 2004年1月号、8月号」より)
来る10月15日、JAGAT 印刷マーケティング研究会主催のミーティング「改めて問う!環境問題対応の意義と成果」を開催する。
既に、一応の環境対応策を取って来た印刷会社に共通する意識は、いままでの努力と成果のアンバランスへの不満とこれからの見通しに関する不透明感、不安だろう。現状の延長ではマンネリ化が見えている。しかし、地球温暖化の懸念はどうやら現実のものとして認めなければならなくなりつつある。
本ミーティングではこれからも継続的に取り組まなければならない環境問題について、今までの成果も踏まえ、改めてどのように取り組むべきかを考える。
2004/10/07 00:00:00