本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

健闘するオフ輪非保有の好業績企業

印刷業界においては、オフ輪の存在が大きくなり、オフ輪がプロセスカラー印刷需要の80%を越える供給力を持つに至っている。また、個々の企業経営においても、オフ輪を保有している企業とそうでない企業とではいろいろな点で違いが見られるようになっている。

図1は、JAGATが毎年行なっている経営力アンケート調査において回答を寄せた企業を、オフ輪保有企業と非保有企業に分け、さらにそれぞれのグループを好業績企業、業績中位企業、業績低迷企業の3つのグループに分けて、各グループの主要経営指標の平均値をまとめたものである。


▲図1

図1の「評点」は、各社の「売上伸び率」、「1人当り経常利益額」それぞれについて統計処理をして、2.5点を平均とする点数に換算したものである。売上伸び率に関する点数が「成長性評点」、1人当り経常利益額に関する点数が「収益性評点」で、この2つの評点の合計が「総合評点」である。したがって、「総合評点」は、成長性と収益性を合わせた総合的な意味での業績水準を表している。当然のことながら、評点が高いほど「良い」ということである。「好業績」、「業績中位」、「業績低迷」の階層分けは、この総合評点において、上位20%の企業を好業績、低位20%の企業を業績低迷、それらの中間にある企業を業績中位とした。

まず、総合評点でオフ輪保有企業と非保有企業の業績を大雑把に比較してみると、オフ輪保有企業の総合評点平均は5.3で非保有企業の5.0を0.3ポイント上回っていることがわかる。オフ輪保有企業の方が非保有企業よりも平均的には総合業績が良いということである。
しかし、両者の従業員規模平均を見ると、前者の人数233名に対して後者は147名となっており、この2グループの総合評点の差には、従業員規模平均の差も影響していると思われる。オフ輪保有企業、非保有企業の好業績企業グループの評点は同じだが、業績低迷企業グループの評点においてオフ輪非保有企業の評点がオフ輪保有企業に比べて悪いことが、非保有企業グループ全体の平均値が低い要因になっていることがわかる。

上記ふたつのグループそれぞれの中での業績別の状況を見ると、オフ輪非保有企業の好業績企業は売上伸び率が2.6%増で6グループ中最も高く、売上経常利益率も7.3%と最高水準にある。一方、オフ輪非保有の業績低迷企業では、売上伸び率平均が▲10.7 %と大幅に低下している。そして対売上経常利益率も0.5%のマイナスである。一方、オフ輪保有企業では、好業績企業の売上伸び率は0.7%増、売上経常利益率は6.2%となっており、いずれもオフ輪保有企業の好業績企業に比べてやや低くなっている。

図2は、過去の本調査における6つのグループの売上伸び率と対売上経常利益率の推移である。一時期、オフ輪保有の好業績企業の売上伸び率がダントツに高い時期があったが、そのような傾向は次第に薄れて、ここ1,2年ではオフ輪非保有企業で業績の良い企業の頑張りが目立つようになってきている。オフ輪の世界の方が、価格競争が激しいということなのだろう。


▲図2

(JAGAT印刷マーケティング研究会会報「FACT 2004年7月号」より)

2004/10/28 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会