本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

JDF/JMFを作成しながら分かってきたこと

JDFの実態はなかなか掴みにくい。そこでJDFフォーラムジャパンではサンプルのJDFを、有志の方々のご協力を得て作成中である。サンプルには、コンテンツとしてはB5判・24ページの「JAGATインフォ」抜刷りの入稿用PDF(フォント埋め込み)、MISで作成した入稿用JDF、入稿用PDFから作成した面付け済PDF、および、CTP、印刷、製本などに渡すためのJDFやPPF、また各生産機(デバイス)から戻される稼動状況を想定したJMFなど、一連のファイルの集合である。

以下は、作成中のJDF/JMFからわかったことでが、まだ足りないものが多い。
JDFはCIM化への重要な規格書になるので、日本から見て足りないと思われる項目や内容は適切な方法でCIP4に提案していく必要もありそうだ。少なくとも日本で使われるタグは統一的に基準化しておくべきだろう。

1.MIS
生産指示用のJDFはオリーブに協力頂き、工程管理システムのプリントサピエンスで作成している。はじめに受注番号や顧客名、所在地、電話。担当者などの記載から始まる。受注側の印刷会社の各担当者も登録されるが、既にある社員データベースの社員マスターから持ってきても良い。また営業担当者のメールアドレスを登録しておいて、進捗情報などの連絡を自動化することも出来る。

コストを割り振りして管理するためには、工程コストのパーセントの登録や、受注番号の下に枝番号を付けて、部品ごとに認識できるようにしている。また印刷会社で一般的な「印刷1号機」などの通称をフレンドリーネームとして定義できる。

日本の商習慣にはあるがJDF(最新バージョンは1.2)で未だ定義されていないものに用紙関係のことがいくつもある。用紙の登録はプリントサピエンスのマスターに入っている用紙のIDを使っているが、用紙の重量はJDFではメートル坪量が使われていて、日本の連量は無い。この部分は仕方が無いのでプライベートタグで連量を定義している。

用紙サイズもポイントで表現されていて、ポイントからミリに、そしてミリからポイントになどの計算を行なっていると、端数の関係で誤差が出る可能性がある。ここもプライベートタグによって日本の全判、半歳をmmでも登録している。

さらに半歳、四歳、表裏の色数、印刷予備枚数など、日本では当たり前の標記もJDFには無いので、プライベートタグで追加している。

2.面付け・CTP
面付けとCTP関連は大日本スクリーンとクレオに協力を頂いている。ひとつはTrueFlowからは入稿指示のJDFとコンテンツとしてのPDFを受取り、面付け済みアウトラインPDFの作成とCTPからの刷版出力の進捗データとしてのJMF、そして印刷工程と製本工程へのPPFを生成した。

プリントサピエンスが作成したJDFではプリプレスの部分のステイタスはウエイティングになっているのが、TrueFlowでは作業を開始したこと(インプログレスの状態)であることを、JFMに乗せてプリントサピエンスに戻す。刷版が完了するとその状況もJMFでプリントサピエンスに伝える。そしてPPFはコモリのK-ステーションで使うインキキーをプリセットするための画像データを持っている。 サンプルは表紙、口絵、本文の総ページ数はページあるが、TrueFlowでは同じ数のJOBを作成している。

PPFとJDFについて、大日本スクリーンではPPFはCIP3に仕様であるが既に運用しているユーザーにとってはPPFでそのまま運用できるメリットがあるとしている。もちろん将来的には全てJDFで流れるのが理想形であり、その準備も進めている。

また、印刷と製本工程にJDFを渡す流れはクレオに依頼して、作業していただいている。

3.印刷
印刷機では、MISから出されたJDFを解析して印刷することになる。コモリコーポレーションに協力頂き、印刷途中、刷了後などのサンプルJMFデータを作成いただいた。下図はその一つである。



実際にはMISのJDFを取り込んだ後で印刷を開始するが、印刷のときだけ使われるキュエントリーIDによってMISから印刷の進捗を問い合わせると、受注番号であるJOB-IDなどを使うよりも、より的確に現在の状態を把握できる。

印刷機械が何時に本刷りと開始した、ヤレをどれだけ刷った、何時に刷了したなど、MISに必要なデータをJMFで戻すが不要ものは削除できる。 インキキーのプリセットのための画像データはCIP4ではPNG-マットを提案しており、コモリでは従来のCIP3/PPFの両方に対応している。

印刷機の状態をJMFで戻すときの定義にはストップ、インプログレス、コンプリート、クリーンナップなどが30ほどある。クリーンナップにはブラン洗浄、ローラ洗浄、圧胴洗浄などがある。しかしこれらはメーカーによっても解釈に違いがあったり、足りない項目もある。当てはまるもの、当てはならないもの、日本ではあまり使われないものなどもある。

4.製本
ホリゾンのご協力でサンプルJMFなどの作成を進めている。

第5回JDFフォーラムジャパン報告(2004年10月7日)

2004/10/13 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会