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申告所得額分布と利益安定企業リスト

2003年に4000万円以上の所得を申告した印刷産業のランク企業は793社であった。2002年に比べて71社減少し、ピーク時(1991年)の1465社に対してほぼ半減している。
ランク企業は毎年200〜300社が入れ替わる。例えば2003年の793社のうち、222社は2002年にはランク入りしていなかった企業である。したがって、2002年にはランク企業として名を連ねていたが2003年にランク外に去った企業が293社あったということになる。

図1は、ランク企業の従業員数と所得額の分布を示したものである。当然のことながら、従業員規模が大きいほど所得額も大きくなるが、10名以下の企業でもランク入りしている企業がかなりあることがわかる。
所得金額は営業利益額とは異なるがほぼ近い数字になる。中小印刷業の2003年の対売上営業率平均は3.1%である(全日本印刷工業組合連合会「印刷業経営動向実態調査」)。したがって、ランク企業に名を連ねるために必要な4000万円の営業利益を上げるための売上高は13億弱と計算される。この売上高は、従業員数50名〜99名規模の印刷会社の平均的年間売上高である。つまり、50名〜99名規模の印刷会社は、業績が良ければランク企業に顔を出すが、業績が悪くなると圏外に去るということになる。

一方、従業員数300名以上の印刷業の1社平均売上高は約94億となっており、たとえば4000万円の営業利益を出したときの対売上高営業利益率は0.4%となる。つまり、かなり業績が悪くない限り、ランク企業から外れることはないということである。逆に、従業員数19名以下の小企業でランク入りするのは、利益率が非常に高い会社ということである。図で見るとおり、19名以下でランク入りしている会社が78社あり、意外と多いことがわかる。


図2はランク入り企業の従業員規模別企業数と、各規模階層の事業所数に対するランク入り企業の比率を示している。 300名〜499名、500名以上で構成比が100を越えている主な理由は、各従業員階層の事業所数は工業統計から持ってきているので印刷産業のみがカウントされているのに対し、ランク企業の対象範囲は、紙製品製造業など、工業統計の印刷産業には含まれない企業も入っているからである。


最小に紹介したように、4000万円以上の所得申告をするランク企業は毎年200〜300社入れ替わる。以上で述べたように、従業員規模が100名以上の印刷業の場合には4000万円以上の所得を申告しているからといって必ずしも業績優良とはいえないが、ある一定以上の所得申告ができるという意味では利益面で安定している企業ということができるだろう。 1999年以降2003年までの5年連続で4000万円以上の所得を申告した企業は302社あり、さらに10年連続で4000万円以上の所得申告をした会社が148社ある。

2004/11/16 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会