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ワンストッププロモーション戦略を提案

ビジネスにおけるメディア活用は複雑さを増していく一方だが,それが果たしてどのくらい有効活用されているかとなると多少疑問が残る。成功させるために必要な戦略は,まずシステムありきではなく,クライアントの悩みから派生していったものが多い。
株式会社ワンゴジュウゴは,ビジネスを成功させるために必要な戦略を創造し,具体的な戦略ツールを提供している。代表取締役の秋山政紀氏と営業部ジェネラルマネージャー上原宏之氏に同社の事業展開を伺った。

ワンストップソリューション展開を目指す
ワンゴジュウゴ(東京・千代田区)は,1996年の設立当初はSI物販やDTP制作を主要業務としていたが,グラフィックデザインやシステム開発に業態を広げ,現在はIT戦略におけるシステムコンサルティングやセールスプロモーションなどを行っている。DTP制作会社として培ったノウハウを生かしながら,制作だけにとどまらないクリエイティブ・プランニングを目指している。また,最近ではマーケティングを絡めたWebソリューション事業に特に力を入れている。
Web関連のビジネスに進出して「ITは一筋縄ではいかない」と痛感した。「ドッグイヤー」という言葉が象徴するように,ソリューションの寿命が短くバージョンアップの早さなどが目立ち,自社開発にはリスクを伴う。
そこでシステム開発,Web通販にそれぞれ特化した関連会社2社を立ち上げた。今後ともIT関連の各分野に特化した子会社を設立して,ノウハウの吸収を図っていきたいという。また,パートナー企業と手を組み自社の不足分を補うことで,事業の多面的展開を目指している。
フレキシブルな対応で,クライアントの悩みをシンプルに解決していくことを,ワンストップソリューション事業として進めている。現在15種類のソリューションを扱っているが,自社開発のものも含め今後もっと増やしていく方針である。

「WEB BOOK MEDIA SOLUTION」を提供
業務内容は具体的には,プランニング,開発,EC,業務開発,グラフィックデザイン,Webデザイン,プログラミングなど独自のソリューション提供である。最近では,電子書籍のソリューション「WEB BOOK MEDIA SOLUTION」などがある。
これは印刷物とブロードバンドコンテンツとの相互活用を実現したソリューションである。既存の印刷物のメディア特性を生かしたままWebやCD-ROM,その他のメディアとの連携により既存の印刷物をデジタル化するサービスである。
電子書籍の利点は,低コストで満載の情報を提供できること,紙媒体では表現し切れない閲覧性や多彩なコンテンツ表現が可能になっていることであろう。例えばしおり設定ができることで,見たい記事に直接ジャンプすることができる。
印刷メディアにプラスした機能として,URLリンク設定をすることでホームページにアクセスする。または付箋紙マークを付けることで実際の雑誌に付箋紙を付ける要領で後に興味のある記事ページを記憶しておくことができる。
もちろんログ分析サービスを使用し,どのページを見たか,ページごとの閲覧数やページ内の各コンテンツのズーム回数をログ解析することでマーケティングが可能になる。掲載記事の効果測定や制作上の品質向上にも生かすことにより,媒体価値向上も図れる。
クライアント企業からは,読者に掲載記事を読んでいただきたい,プリントアウトしていただきたいというニーズがある。そのための仕組みとしては,印刷機能をもたせることで店舗利用特典やクーポン券企画での利用も可能である。
Webで記事全体をすべて見てもらうのはかなり難しい。パラパラとページをめくる感覚で気に入ったページに付箋を貼るフリーペーパーの利用にも向いているだろう。
2004年3月よりサンケイリビング新聞社と提携して,OL向けのフリーペーパー『シティリビング』の電子書籍版を「Citywave.com」に掲載している(http://www.citywave.com/)。週刊で発行されているシティリビング紙のすべての内容を紙面発行と同時にWeb掲載することができる。
ホームページはいまや面白くないものは見向きもされず数秒しか滞在されないといわれている。WEB BOOKにすることによりページビューの時間が長くなるというメリットもある。

ソリューションの総合商社として多面的に展開
クロスメディアを考えるなら,訴求内容がどのメディアに合うのかを見定めて,ワンストップの多面的展開をしていくことが決め手になる。メディアが増えれば,メディアミックスをどうするか,また費用対効果の問題も発生する。クリエイティブとシステムとソリューションをミックスして戦略ツールとして提供することが,ソリューションの総合商社を標榜する同社の方向性である。
消費者ニーズの多様化や細分化に伴い,メディアも細分化し,その仕組みも複雑になってくるが,コンサルティングできる人がいない。ITメディアの正しい選択や,訴求したい内容と選択肢のマッチングを検証する必要がある。同社の位置はクライアント企業とその先にいるエンドユーザを結び付けるための最適ソリューション提供を統合的に行うことである。
同社では,その他さまざまなソリューションのアンテナを張るためにライセンス事業も行っている。GAネットワークという子会社を海外に作り,ゲームを中心にアメリカにいろいろなソフトを紹介したり,逆にアメリカのソフトをローカライズする事業も展開している。
また,SEO(Search EngineOptimization;検索エンジン最適化)施策として,派遣サービス「WEB24」では,熟練スタッフを短期間に派遣し,最適化チューニングやSEM(サーチエンジンマーケティング)運用をコンサルティングしている。これもクライアントから寄せられた悩みを解決することがきっかけになっている。
これからは次世代携帯コンテンツ向けのサービスも拡大していく方針である。ECの決済や課金サービスにWebと携帯電話の利用比率は既に半々であるという。同社では,あらゆるモデルがWebから携帯電話に移行していく可能性が強いとみている。

広がりあるデジタルメディア活動を創造
紙はなくならない,有力な媒体の一つである。今後はITと既存の紙媒体とのシステム利用の変化を捉え,ターゲットに合った訴求をしていく。印刷会社はコンテンツを扱うことからその核になる部分に位置することになるだろう。
ちなみに社名のワンゴジュウゴとはWAN55のことである。WANは広域ネットワークの「Wide Area Network」のことで,広がりをもったデジタルメディア活動を創造していきたい,との考えからである。55には代表の秋山氏が1955年生まれであることやGOGOを掛けたりと,さまざまな意味が込められている。そこには人とのつながりを大切にしていきたいという強い思いもある。

JAGAT info 2005年1月号より

2005/01/24 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会