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DTPは「作業」から「システム」へ

AdobeのクリエーティブスイートやQuark6.5にしても機能的な大きな変化がないよいうに見えるが、そのこと自体がDTPの安定化をあらわしており、オペレーションの再教育をしたくない風潮というのも見られる。特にMac環境はそれが顕著で、むしろ新しいソフトの参入はもっぱらWindows環境で行われ、既存のDTPに対してはっきりと何らかのメリットを強調するものが増えている。

それはデータベースやXMLを使った自動組版、またネットワーク上で発注者側にセルフサービスさせるASP型の印刷制作サービスなど、小は名刺からチラシ〜マニュアルまで非常に多様なものが現われている。またデジタルプリンタを対象にしたバリアブルプリントのツールも年々確実に増えてきた。これらを異分子だと考えるとDTPは変化のない分野であるが、目的達成のために思い切ったプロセスの改革を考えるには、いろんな選択肢がある時代になった。

DTPのメインストリームの現場では、DTPソフトのオペレーションよりも、RGBワークフローとPDF/Xへの対応が日常の課題になって、その観点で作業環境の整理が考えられるようになりつつある。デジタルカメラの段階からAdobeRGB色空間をターゲットにすることによって、パズルのようなカラーマネジメントから解放されて、全体的には品質管理が行いやすくなる。そうするためにはモニターから、対応したカラープリンタまで、環境整備の再投資が必要になる。

現在はコストダウン志向でCTP化しているところが多いので、色校正はDDCPよりはプリンタプルーフに重点が移っていて、さらにそれがネットワーク経由で居ながらにしてできることが求められている。DTPからの最終出力の安定化については。1bitTiffとPDFの戦いはまだ続いているが、AdobeAcrobat7はグラフィックアーツのプロ的ニーズへの取り組みをして、しかもJDF情報書き込み機能など、これからのワークフロー設計のことも踏まえた製品にすることで、総合的なメリットをアピールしている。

今回一挙に増えたのはJDF対応の製品で、個々の製品の機能は従来とかわらないものでも、ネットワーク上で生産管理できることで、工程間にまたがった作業効率化や人手をなるべく介さないことによるコスト削減を実現しようとしている。近年の印刷機のJDF対応とともに印刷以降の後加工・製本のJDF化は一通りPAGEで見れるようになった。あとはAdobeAcrobat7のJDF対応と発注側のJDFによるオンライン伝票にサンドイッチされた形で、プリプレスのJDF対応がこれからの課題となる。

制作の素材をネットワーク経由で管理するDAMやストレージシステム、サーバでのデータ加工などの分野も再び活況を呈し始めている。ブロードバンド化とともにネットワークDTPの整備は急速に進みつつあり、そういう意味でプリプレスは巧妙な経営戦略や設備計画をしなければならない分野である。

テキスト&グラフィックス研究会会報 Text&Graphics #228 PAGE2005プリビュー号より

このPAGE2005プリビュー号は、PAGE2005基調講演およびコンファレンス会場にて、会報サンプルとして配布しています。

2005/01/25 00:00:00


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