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2次元コードが印刷の新たな応用を切り拓く

2次元コードの考え方は古くからあり、今標準的に使われているバーコードの制定時のさまざまな提案の中にも、ちょうど後に印刷関係者が提唱したカルラコードのようなものがあったと記憶する。スダレ式のバーコードが採用されたのは、情報量の多さとかの理由ではなく、コードの版下から製品の取り扱い、読み取りまでの全局面を通しての総合評価の結果であって、個々の局面だけみると他に優れた方式があった。

その後レジ機にはAT互換機パソコンが使われるようになったが、バーコードのリーダーはキーボードやマウスと同様のインタフェースにつなげるものとなり、機器面でも最も安価なものとなった。バーコードにもいくつかの種類があるように、2次元コードも別にQRコードひとつでなくてもよいが、標準が確立することで機器やソフトの低価格化や使い方がこなれたものとなる。

QRコードの場合は最初は専用リーダーが必要だったが、その後携帯電話に200万画素級の撮像素子が搭載されたので、機器面から敷居が低くなり、一挙にポピュラーになったと思われる。しかし携帯電話の撮像能力や処理能力からすると2次元コードの応用はQRコードにとどまることはないだろう。

たとえば印刷画像から網点のような要素を抜き出してコードとして利用もできるだろう。機械読み取りを想定した網点画像というのも考えられる。携帯電話をデバイスとして色や画像の処理やOCRがすでにいろいろ取り組まれていて、絵の中に文字を隠すとか、あるいは英字を読んで辞書変換するとか、多くの技術ネタが出番を待っている。

これらとQRコードは組み合わせられるのかもしれない。コードの画像化にいろんな方法が考えられるとしてもQRコードが不要とならないのは、そこに2次元コードがあって、携帯のカメラの照準を合わせられるようにしなければならないからだ。あとはゲームのように、画像のどこかに隠されているコードを探すようなゲームも始められる。

携帯電話のインタフェースを介して、人と印刷物が対話的にやり取りをするという新しい世界の創出である。印刷物も、それがどのような使われ方をしているかをじっくり考えると、ページと人との対話でもっとコンテンツが生きる方法を思いつく可能性がある。

通信&メディア研究会会報 VEHICLE 190号より

2005/02/02 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会