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DTPデータをWebに活用するサーバソリューション

 ブロードバンドやインターネットの普及により,印刷会社ではプリプレス工程におけるデータ管理だけではなく,顧客のWebサイト構築への対応も考慮する必要が出てきた。DTPデータをWebに活用するサーバソリューションについて,ビジュアル・プロセッシング・ジャパンの星名 康雄氏にお話を伺った。

WebサービスとDTPターボサーバーの位置付け

 Webサービスには,プリプレス工程で扱うデジタルデータが重要になってくるのではないだろうか。それは,DTPの環境で使用されるPDFやイラスト,画像,PS,レイアウトデータをいかに展開できるかがポイントになる。
 また,Webにも展開しやすいRGBデータの画像をうまく利用しようという動きもある。これは,印刷工程における途中の制作データだけではなく,Webやビジネスドキュメントのデータとして再利用も十分可能である。さらに,画像データをコピーして切り抜いてクライアントに渡すことも,デジタルデータなら簡単にできる。

 デジタルデータは,情報処理への展開も容易である。さまざまなソフトウェアやインフラと合わせることで,1つの目的だけでなく,さまざまな情報処理へ展開できるところがデジタルデータの特徴である。したがって,印刷業として考えても,DTPの部分からいかにデータを管理してWebサービスに展開できるかが大きなポイントになる。
 DTPターボサーバーは,さまざまな機能があるが,中心はファイルシステムというデータを管理しているサーバである。主にDTPの制作ラインのワークフローを効率的に流していく機能を持っているが,それと同時に,制作ラインから中央のサーバにデータを集約する流れを持っている。

 DTPターボサーバーの導入により,ハードディスクの中でネットワークにてマウントし,ディスクの中で作業をする流れを提案している。よって,中央にデータが集まるので,このデータをインターネットにダイレクトに展開したり,バックアップしたり,アーカイブということでDVD等,さまざまなメディアに保管することが可能である。
 このように垂直的な展開だけではなく,データベースと合わせることによって工程管理,自動組版,ECサイト等のWebサービスに展開していくことができる。

ソフトウェアアーキテクチャ

 プラットフォームはMac OS XもサンマイクロシステムズもUNIXであり,その上にFullPressというワークフローマネージャーを載せている。FullPressはDTPターボサーバーの中で大きな役割を果たしている。
 WebNativeはFullPressで作られたファイル管理のデータをブラウザに展開して配信していくソフトである。ダウンロードやアップロードなどの処理が全部含まれているパッケージソフトである。

 その上にWebNative Ventureがある。これは俗に言うDAM(digital asset management)になる。WebNativeで管理している画像ファイルやイラストファイルにメタデータ,属性情報を付けて管理するためのデータベースソフトである。
 アーカイブという作業をDTPターボサーバー上で自動化して作業させるツールがFlashnetである。
 DTPターボサーバーは,FullPress,WebNative,Venture,Flashnetの4つのソフトウェアがうまく連動して動くところが大きな特徴になる。

 Webサービスを考える上でよく聞く話は,データベースを使ってWebカタログなどを作っている場合,ファイルサーバで扱っている画像とWeb用のデータが一致しない。一致させるには,データベース管理者がメンテナンスしてWebカタログを更新していくということである。
 しかし,1つのクライアントに対してデータベースをメンテナンスしていては採算が合わない。そこで,このシステムにすると管理が容易になる。マルチでサービスを展開していく上でWebサービスを考えるには,このように簡単な仕組みが重要である。

 また,WebNativeというブラウザ側のファイル管理システムがある。アクセスパスワードで入っていくが,ボリューム内容をそのまま展開している。オリジナルフォルダの中のデータをダイレクトに公開するので,DTPオペレータはファイル名の整理や画像の修正などもリアルタイムにWebブラウザに展開できる。フォルダの整理やデータの移動も,すべてブラウザに反映できる。

印刷データを基軸にしたWebサービス

 WebNative Ventureでは,画像と属性情報という項目を作って管理していくことができる。
 重要なのは,印刷データをベースとしたWebサービスを考えることである。印刷データの特性は,高精度,高訴求力,高品質である。この3拍子揃ったデータを扱っているのが印刷業者である。
 したがって,印刷会社にはクライアントからデータを再利用したいという依頼が多いのではないだろうか。印刷会社では,マルチユースということで,CDやDVD,Web,ドキュメントに展開してサービスしていく必要性が出てきている。

 Webサービスには,コンテンツデリバリーサービスがある。ブロードバンドが出てから転送が早くなり,いつでもどこでもデータを取得できるようになってきた。クライアントでもコンテンツマネジメントという考え方はたいへん進み,ブランドマネージメントから画像データや企業ロゴ,ドキュメントを簡単に利用したいという機会が増えている。これに対して適切な提案を行って成功しているケースも数多くある。
 WebNativeというWebブラウザソフトは,インターネットに公開できるので,クライアントに24時間どこでもサービスを提供することができる。

 Webのインタフェースなので誰でも利用でき,アイコンで簡単に操作できる。カスタムオーダ機能で,CMYKのデータをブラウザ上で,PowerPoint等に貼り込む場合,RGB系のBMPデータに変換することができる。
 クライアントに応じたサービスの内容を策定し,アクセスログを管理するWebNativeアドミンというツールもある。クライアントがどのデータをいつダウンロードしたのか等,サービスの内容をすべてログ化して管理している。
 また,コンテンツに対する付加情報ということで,画像に値段等の情報を付けて管理し,検索が可能なメタデータベースがある。  WebNativeはもともとアメリカで作られたが,多言語にも対応する。中国からアクセスがあれば中国語でインタフェースを表示でき,アメリカなら英語,スペインならスパニッシュと,国内外のクライアント拠点のサポートが可能である。

 また,クライアントに副管理者権限を与えることで,クライアントが中心となったデータデリバリのサービスを作っていくことも可能である。例えば1つのクライアントがパスワードを300人分管理する場合は,サブアドミンという副管理者権限を使い,クライアントがサイトの管理をすることができる。
 以上のように制作ラインにおける印刷工程のデータ管理から,Webサービスへの展開が一番重要になる。Webソリューション自体は年々多く出ている。以前は,オンデマンドドキュメント配信サービスや自動組版が着目されていたが,現在は電子カタログのソリューションなどが目につくことが多い。データ管理を効率良く行うことにより,時代に応じたソリューションにいち早く適合してよりよいWebサービスが実現できる。

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(テキスト&グラフィックス研究会)

2005/01/31 00:00:00


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