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Webシステムの新たな利用環境を実現するリッチクライアント

リッチクライアントは、現在利用されているWebシステムのHTMLベースのクライアント(マイクロソフトのインターネット・エクスポローラなど)に比べて、表現を豊かにしたり高い操作性を実現するクライアントの実行環境ということになる。
従来のクライアント・サーバシステムのような表現力や操作性を実現できることで注目されている技術である。

ただ単にクライアントだけの利点だけではなく、開発の容易さや運用・保守の容易性なども可能になるため、従来のWebシステムとクライアント・サーバシステムの利点をそれぞれ得られるという技術でもある。

Webシステムの欠点とは、ユーザ環境で画面のデザインや操作が変ってしまう、応答性が悪い、セッション管理が難しい、大量の入力には向かない、オンラインでしか利用できないなどがある。これらはクライアント・サーバシステムで実現できていたのが、Webシステム化を行うとできなくなる。

Webの利用は、インターネットで広告やドキュメントを配信するだけではなく、今ではあらゆる用途を前提とした利用になってきている。しかし従来のHTMLドキュメントやHTMLクライアントでは静的な見せ方しかできない問題があった。ブロードバンド化が進み、動画などが配信可能になり動的なコンテンツを配信するサイトも増えてきた。
動的コンテンツもだた見せるだけではなく、対話操作などを交えて必要とするコンテンツを得られるような仕組みが必要であり、商品を売るための広告ではより商品の情報をわかりやすく伝えるための仕組みが求められる。
さらにWebの利用は商品の販売などのECにも利用されており、今後は企業間の取引といったEDIなど企業システムの延長部分でWebシステムの利用が求められる。

リッチクライアントの利用に向けて

印刷業界では、Webアプリケーションには二つの利用が今後不可欠となってくる。ひつは顧客へ提案するコンテンツの利用ということがある。カタログ、チラシ、パンフレットのWeb化がある。これもただ見せるだけでなく、広告要素とECへ繋がる部分とがあり、ここでも表現力や操作性は重要になってくる。
もうひとつは、企業間の取引やコラボレーションといった利用で、社内情報システムのWebへの延長という部分になってくる。この部分でも操作性や表現力は重要で、さらにシステムの開発コストや運用コストの削減も要求される。

このように、今後は印刷会社もWebシステムの活用は不可欠であり、利用者であり同時に開発者であるという立場にいるのが印刷会社となってくる。

リッチクライアントの種類

リッチクライアントは、マクロメディアのFlashやFlexがある。特にWebで利用されているのがFlashである。FlexはXML系のマークアップ言語などを利用してFlashコンテンツを自動生成する環境である。

マイクロソフトは、スマートクライアントと呼ばれるWebサービスを利用した環境を提供している。Biz/BrowserはWeb環境で操作性を向上させた専用クライアント環境で、高速な入力や表示が実現できる。またJavaの開発環境であるJ2EE環境と連携して動作するクライアント環境としてNexawebがある。

このように、基本技術はいろいろと違いがあるが共通しているのは、クライアント側に何らかの仕組みが入ることで、スクリプトベースでサーバ側で生成されるデータを高速に受け取りクライアントの表現力を上げたり高速な操作に対応するような仕組みを提供している。どちらも動的にサーバがデータを生成して処理がされる環境で、クライアントの仕組みとサーバがペアになったシステム環境である。
このため開発は、サーバ側に簡単なスクリプトベースで作りこみを行う方法が多い。これは多少の技術力などが要求されるが、従来の複雑なアプリケーション開発より短期間で開発できる特徴を持っている。

これからは、Webを使った広告やカタログなどの販促への利用やアンケートなどのWeb利用の情報収集があるが、さらにより操作が増えるような座席予約や商品の購入などといったところが利用の対象となってくる。また今後はグローバルな情報共有を必要とする企業間では、Webを利用した業務システムや情報共有システムなどは非常に利用が期待されるところである。

JAGATの通信&メディア研究会では、これからのWeb活用技術として今注目されているリッチクライアントを理解してもらうための紹介と利用についてセミナーを行い、これからのビジネスへの利用を探ります。

2005/03/03 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会