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試験勉強で得た知識を仕事のレベルアップに生かしたい

◆浅井 徹

幅広い分野の知識を修得
光の色温度,色の波長,YAGレーザ? データベースのデータソース? バイナリデータ?
これがDTP作業の,ましてや今私がやっている入稿原稿の手配,進行の仕事に何の役に立つの? DTPエキスパートの勉強をし始めた時に思った感想です。正直そう思いました。

いや待てよ,こんな気持ち昔にもあったような……そう,それは,中学・高校生の時,国語の漢文や,数学の微分積分,数列などを勉強していた時です。
「これらは本当に将来役に立つか分からない」「何でこんなこと勉強するの」と思っていました。
でも今思えば,中学・高校生の時の疑問は意味があったと思います。だって,中学高校の勉強は,あらゆる仕事の基礎でしょ。確かに,医者になるには生物や科学を勉強し,ライターになるには,漢文の知識だって知っていて当たり前。プログラマーやSEならば,数学は基礎ですよね。何も無駄はなかったわけです。
DTPエキスパート認証試験の勉強も「これと,同じだ!」って思います。実際,DTPエキスパートになった後,試験のために得た知識は,仕事のところどころに顔を出しました。
会社でRAID-1システムのサーバを購入したのですが,試験勉強がなければRAIDについては,全く知らないままでした。普段の仕事をしているだけでしたら,知っていなくても問題がないのかもしれませんが,例えば,購入に当たっての責任者になっていた場合,いろいろなサーバから最も良いものを選ばなくてはいけません。「知らなかった」では,会社にとって良いものは買えません。
また,そのサーバの管理者であった場合ではどうでしょう? いざサーバが壊れてしまった時に最善策を考える知識になるでしょう。

仕事の現状と今後の課題
私は,今の会社の入社当初,写研システムの組版オペレータでした。毎日写研システムのSAPCOLでコーディングして組版をしていました。
そして現在は,主に組版の手配をする仕事をしています。社内にある写研,EDIAN,Macで処理できるものは社内で処理するように準備し,社内処理できないものは他社へ手配していきます。
この仕事では,熟練されたテクニックや,写研,EDIAN,Macの操作方法は不要です。私は実際DTPで制作をしていませんから。その代わり,多くの知識をもっていなくてはなりません。
いかに効率的に,良いものを作成するために,「どのソフトで」「どのデータ形式で制作していくか」ということを判断し指示していきます。
ですから,Macのことも,Windowsのことも,データ形式のことも知っていなくてはいけません。DTPエキスパート試験対策の勉強は仕事のレベルアップに十分役立ちました。むしろ,もっと早くに身に着けるべきだったと思います。

私は会社とは別に,イラストやデザインの仕事も勉強中です。それはデジタル化ができない分野を身に着けようと思っているからです。
今では,データベースのデータを使った自動組版やDTPが,より普及,簡易化して著者,編集者がデータ作成をする時代になっています。当社でも独自のシステムを作り普及させています。つまり,フィルムやCTPの出力の仕事は減りませんが,DTPの需要が減る傾向にあるわけです。しかし,創作の分野は決して自動化できません。必ず,人のアイデアで作られます。需要が減る分野ではないのです。
本音はイラストを描くことや,デザインすることが好きだから,ということですが……。いつか,いや,近いうちに私の身に着けている分野は,自分の武器になることでしょう。

 

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2005年3月号


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2005/03/15 00:00:00


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