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価格競争とバリアブル印刷

価格競争に悩む印刷会社が多い。結論から言えば,顧客から見た印刷物は,品質が同質化していて,購入を決断する選択の余地がほとんどない。だから,発注業者選択のポイントが価格に集中しやすいためと考えられる。ほとんど同じプロセスで,同じ機械と用紙を使って印刷すれば刷り上がりが同じになるのは当たり前である。他者との違いこそが価値を生むのだから,品質が同質化された市場は価格競争となる。例えば官公需はここに来て,市町村合併の推進で自治体数が減少し,ますます競争の激しさを増している。

 そこで,差別化が必要となる。品質アピールのためにISOを取得するとか,高精度印刷に向けたヘキサクロームに取り組むとか,環境への優しさ訴求で水なし印刷を検討するとか。短納期対応力でも良い。どこで差別化するかは企業の自由である。しかし価格で差別化するのは難易度が高いので避けねばならない。もし価格で差別化を図るなら,パソコン販売のDELLのようにビジネスモデルを完全に構築し,常にNo.1のコスト競争力を保ち続けねばならない。

 その点,バリアブル印刷は差別化戦略における有力な選択枝の一つである。どのように顧客の真のニーズを捉え,顧客に高い費用対効果を提供できるか。その手法はセオリー通りのマーケティング論に基づくとしても,実際のソリューションは印刷会社によって異なるし,極端に言えば営業担当者によっても違ってくる。違いの生まれる余地が大きいし,つまり付加価値を生む余地も広いということになる。

 まだバリアブル印刷市場は未成熟である。6月29日のセミナーでは,「デジタルプリント事業の現状と課題」と題したセミナーを開催する。ここでお話しいただく2社は,それぞれシンクタンクと学習塾からの分離独立であるが,印刷産業を魅力的と考えたからこそ参入しているのである。異業種からの参入とも言え,伝統的なオフセット手法による印刷会社ではない。いつもの印刷業界から少し距離を置いた観点から,我々がいまいる印刷業界をデジタルプリント事業を通して考えてみたいと思う。

■2005年6月29日開催セミナー
「デジタルプリント事業の現状と課題」〜バリアブル印刷のいまとその可能性〜

■2005年7月6日開催セミナー
「デジタル印刷によって拡がるビジネス」
〜CRM,フルカラー化で変わる請求明細書の意義とバリアブル印刷〜

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2005/06/20 00:00:00


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