本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

企業の情報戦略を支援するブログ技術

ビジネスブログの実態

個人の情報発信ツールとして広まったブログは、2004年末から企業でも取り上げられ、ビジネスにも有効なツールとして注目が集まっている。

2005年7月11日にホットリンクから発表された調査資料によると、ブログを採用する企業の主な用途は「企業PRとしての内容」が60.2%、「商品PRとしての内容」が47.6%、「企業の代表者個人の内容(社長ブログなど)」が35.0%、「リクルーティング・広報としての内容」が30.1%とあった。さらにビジネスブログの効果・影響を感じているかという質問に対しては「はい、メリットを感じている」が73.8%、「いいえ」が16.5%、「はい、デメリットを感じている」が4.9%だった。また今後もビジネスでブログを活用した方がよいとする考え方は回答者の9割近くあることが分かった。

ブログがこれほど支持される理由は、従来のWebサイトと比べると情報更新の容易性、コミュニケーションのしやすさ、コスト削減などが可能になったからである。

ブログの登場がインターネットにおける情報空間に変化をもたらしたことは事実で、これらの変化は、ブログが持つ「コンテンツ管理システム(CMS)」やXMLによる書式の標準化、特有技術の「RSS」や「コメント」、「トラックバック」によるところがある。
例えばRSSは、情報を探す人があちこちのWebサイトに行っていた行為に替わって、自動的に自分のもとに情報を集められるようにした機能である。従来、Webの情報を受け手にプッシュで送る役割を担っていたのはメルマガだったが、RSSはメールを代替する機能になる。 そしてコメントやトラックバックは、一方通行だった情報流通を真の意味でインターネットの双方向性を実現させたものである。これは人と人、オンラインとオフラインを同時につなげ、情報発信者にとってよりリアルに近い感覚をもたらした。

活用のためには戦略を立てること

企業がブログを活用するということは、その技術や特性をよく理解し、既存のビジネスに落とし込むための仕組みを自社仕様にカスタマイズする必要がある。「隣りが成功したからうちも」的な考えではブログ導入による効果は期待できない。業種、業態、戦略によってブログへのアプローチは違うし、企業はどのようにブログを運用するかについて十分に検討・研究を行わなければならない。

語学の通信教育、出版、各種のメディア制作をおこなっているアルクは、ブログの機能に早くから注目し、既存のビジネスに落とし込むツールとして活用するためにさまざまな取り組みをしている。
アルクの主力商品は通信教育であり、1人のお客さんとより深く付き合っていく中で展開するビジネスである。そういう意味でユーザとのコミュニケーションや囲い込みという意識は一般の会社よりも強く持っている。
インターネットを活用した学習システムの開発に従事するアルク 取締役の森田氏は、「形のある商材を売っているという基盤があり、Webやインターネットのインフラを取り込むと横の連携、縦の連携が出てくる。そこにブログや会員専用のクローズドWebサイトを展開することで、印刷物が爆発的に売れる仕組みを作ることができる」という。

今、多くの企業がブログ機能をもったWebサイトを構築しようとしている。前述の発表資料は、ブログのビジネス利用は活用の仕方により、大きな効果を得ることができるということを示している。時代に乗り遅れることなくどの企業もブログをうまく取り入れ、自社ビジネスの拡大に役立てる必要がある。

◆関連セミナー
7月28日 通信&メディア研究会主催 拡大ミーティング
情報発信の価値を高めるブログ技術

2005/07/14 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会