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仕事を通じてスキルアップ引き出しが多いオペレータに

◆高橋 誠

DTPエキスパートに必要なこと
私がこの業界を志したのは高校を卒業するころのことです。イラストなど絵を描くことが好きだったので「Macを使った仕事しかない!」と思い,専門学校でDTPを学びました。そのころからDTPエキスパート試験の存在は知っていましたが,内容がとても難しく自分には「とても無理だ」という印象でした。

卒業後,書籍制作の印刷会社でスキャナオペレータとして働きました。DTPに詳しい上司がまだいなかったので,学生時代に勉強した参考書などの知識がとても役立ちました。しばらくは何事もなく仕事をこなせたのですが,自分の知識を超えたトラブルが起き,アプリケーションの操作だけでなく「印刷の知識」の重要さに気づきました。フィルム出力した時にスミ版の文字がほかの版で抜けてしまうことや,スクリーン線数の違いでモアレが出てしまうことなど自分の知識不足を痛感しました。それらの出来事から「自分の作っているものがどうやって印刷物になるのかをもっと知りたい」と思うようになり,DTPエキスパートの勉強を始めることになります。幸い?会社まで2時間半の電車通勤だったため,本を読む時間には恵まれ,何とか最初の試験で合格することができました。そのことが自信になり,新しい分野への転職し,今では商業印刷物の制作に携わっています。新しい会社は最新の設備がそろっていて自分の知識がより生かせるのではないかと考えての志望でした。

新しい仕事はIllustratorを使い,折り込みチラシを制作しています。「スピードと正確さ」が大事です。顧客の期待にこたえられるよう日々勉強し,とてもやりがいのある仕事です。「DTPエキスパート」は何か特別なことができるよりも,データ制作の常識や新しい技術への正しい対応などを知っていることが大事なことではないかと考えています。

今の仕事と今後の目標
以前は文字中心の書籍制作に携わっていたせいか,折り込みチラシというとあまり文字処理とは縁のない分野なのかと思っていましたが,今一番重宝しているソフトが「Excel」です。Excelは自分にはなじみのないソフトでしたが,使えば使うほど便利なソフトだなと思わされます。データベースからExcelをとおしIllustratorに文字情報を配置することで,精度と速度を上げることができ,VisualBasicを含め学んでいきたい分野です。
チラシに300点ほどの商品画像を型の決まっていない配置をしていく作業があるのですが,最初はQuarkXPressを使って配置をしていました。もっと効率良くできないものか?と考えた末,今ではIllustratorプラグインで配置するようになりさらに効率が良くなりました。「こんな使い方があったんだ!」とIllustratorを10年使ってきた今でも新しい発見があります。やはり商売道具として使っている以上,常に効率化の探究心はもっていなければと思っています。どのソフトでもそうだと思いますが,標準の状態では使い勝手がいまいちでプラグインのお世話になることが多く,開発者の方々には頭が下がる思いです。

今後の目標としては,商業チラシということでクライアントの利益アップに貢献できるような良い仕事をしたいと考えています。それにはデザイナーでなくても,文字の組み方やレイアウト,配色の知識などを知っていなければ良いデザイン「長く見てもらえるチラシ」は生まれません。DTPエキスパート試験にはこのような問題も出題されており,改めて学んだことも多くあります。出題範囲の広さも試験勉強をしている時は大変でしたが,仕事をしていくうちに「あの時に出た問題だ!」とまるで予習していたかのように対処できることもありました。今後もこの仕事を通じてスキルアップに励み,さまざまなことに対応できる「引き出しの多いDTPオペレータ」になれるよう努力していきたいです。

 

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2005年9月号


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2005/09/03 00:00:00


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