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思いを形に,そして感動を

◆藤原 由紀子

「27歳のフレッシュマン」社会人としては遅咲きのスタートでした。
それまでの私はDTPはおろか就職さえしたことがありませんでした。そんな私が印刷会社でDTPオペレータとして編集・デザインに携わるようになったきっかけは以前経験したアルバイトにあります。
一般事務補助としてファイル整理や雑用をこなす毎日でしたが,ある日「IllustratorとPhotoshopでポスターとフライヤーを作ってみないか」と言われ,「面白そう」という単純な理由で引き受けてしまったのが始まりです。そこでDTPという仕事の存在,作ることの楽しさ,難しさ,そして達成感に出合いました。

数カ月後,ハローワークで求人票をパラパラめくっていると「DTPオペレータ」という文字が目にとまり,直感的に「これしかない」「やってみたい」と思いました。未経験者ながら私の「どうしても働きたい」という熱意で採用していただき働くことになりました。この会社に採用されたことは,今まで何をやってもダメだった私に自信を与えてくれました。そして,感謝と同時に社会や会社に貢献し,必要とされる人間になれるように早く成長したいと強く思うようになりました。
DTPオペレータとしての仕事はすべてが初めてで,最初は教えていただきながら実践をとおして学び,目の前の仕事を何とかこなしていくという状態でした。そんな毎日を過ごすうちに,少しずつ一人でできる仕事も増えて一通りは仕事をこなせるようになりました。それと同時に基礎を始め,知識や技術のない自分にもどかしさを感じるようになり,目標をもって勉強したいと思うようになりました。そして,その時DTPエキスパートの存在を知り受験を決意しました。

問題集を購入し,やってみて範囲の広さと難しさにがく然としました。アプリケーションを少し触ったことはあるものの,未知のことばかりで,合格にたどり着くことができるのかとても不安を感じました。そこでさらにDTP関連の本や問題集を探し,3カ月間仕事が終わってから勉強に励みました。その後,会社にDTPエキスパートを取りたいと話をしたところ,「あなたがやりたいなら応援します」と心強いお言葉をいただき,講習会に参加する機会を得ることができました。講習会に参加したことで自学自習では不十分だった知識や制限時間内に解くスピードを身に着けることができました。また,素晴らしい講師と同じ目標に向かって切磋琢磨(せっさたくま)し合える仲間に巡り会い,合格することができました。
振り返ってみると自分自身の向上心と努力,励まし合える仲間,的確な指導をしてくれた講師の方々,私を認め応援してくれた会社の方々のサポートがあったからこその合格だと思います。また,前向きに自分を信じて行動することが大切だと感じました。そして,合格できたことは,がんばれば目標を達成できるのだという自信につながりました。

今の印刷業界は長期低迷する経済,JDFへの対応・効率化,メディアの多様化などと淘汰・変革の時代にあると言えます。特に,価値観の多様化,ペーパーレス化,Web環境の発達などにより,印刷物が果たしてきた役割が急速に変化しています。
私たちは社会やお客様が求めているものを敏感に感じ取り,それを形にしていかなければなりません。DTPエキスパートは,私にさまざまな分野の幅広い知識や自信などたくさんのものを与えてくれました。今後はそれらを糧にお客様との関わりの中から,お客様が真に求めているものを感じ取る力を養い,ともに作り上げていくプロデュース能力を高めていきたいと思っています。お客様に感動していただけるものを作り上げることができれば,私にとってもこれ以上の喜びはありません。
そのためにも,さらに技能や感性を磨き,より多くの知識と経験を得て,お客様,会社そして自分自身のためにステップアップしていきたいと思います。

 

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2005年10月号


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2005/10/07 00:00:00


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