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経験を重ね、真のDTPエキスパートになりたい

◆野村 文美

「IllustratorやPhotoshopを使う仕事がしたいなあ〜」。就職活動をしていた時、私が常に思っていたことです。
 とはいえ「Macが使えること」を必要条件におく印刷会社が多い中、MacもIllustratorも大学時代に半年しかまともに習っていない私には、とても「使えます!!」なんて偉そうに答える度胸も勇気もありませんでした。
 そんな中「Illustratorなどは入社してから教えます。むしろ真っ白な状態で来てくれた方がいい!」と言ってくださり「ありがたい!」とばかりに入社試験を受け、そして無事合格することができたのが、今のアロー印刷です。その後運良くDTP課に配属になりました。

 入社した当初は主に校正の仕事をしていました。仕事内容は間違いを見つけることですが、言葉や漢字、一般常識などいろいろな知識に精通していないといけない上に、ここで間違いを見逃せばそのまま印刷されてしまうこともあるわけですから、すごく緊張します。もちろん間違いがないのが一番なのですが、なければないで「何か見逃しているのでは!?」といつも不安でした。
 この頃はDTP課内のさまざまな部署をつまみぐいのようにいろいろ手伝わせてもらっていました。フィルムを焼いたり、プレートに穴を空けたり、画像データのゴミ取りをしたり……今思えば新人だからこそ、許されるぜいたくな期間でしたね。

 それが4ヶ月続いた後、入稿したデータをチェックする部署に正式に就きました。
 扱うのは主にIllustratorのデータで、ほかの人が作ったデータを触るということが最初はすごく怖かったけれど、さまざまなバージョンで作られたデータを毎日見ることはとても勉強になりました。また、そこではCMYKやオーバープリントなどの印刷に関する色の知識も身につけることが出来ました。
 その仕事を5ヶ月間続けた後、現在の部署に異動になりました。
 ここでは既に作られているものをチェックする仕事とは違い、「こういうものを作りたい」とお客様がおっしゃるものを一から作る仕事をしています。デザイナーとは少し違い、お客様がある程度レイアウトを考えたものをIllustratorやEDICOLORを使ってちゃんとした形にしていく、といった感じでしょうか。最初はIllustratorでする仕事をしていましたが、最近は専らEDICOLORで主に会報や広報誌といったものを製作しています。
 EDICOLORなんてもちろん触ったこともなかったので、先輩方に教えてもらいながら仕事を覚えていきました。最初は話にならないくらい時間が掛かっていましたが、最近ようやく一人でもそれなりに作業が出来るようになってきた気がします。
 このように浅く広くいろんな部署を転々としていたので役に立てない期間が長かったのですが、入社して2年弱、最近やっとそれなりに仕事がこなせるようにはなったかな?と思います。それでも周りの先輩はベテランな方ばかりなのでまだまだ足下にも及びません。けれどたまに以前身に付けた色の知識などが役に立つこともあって、例え浅く広くでも今までしたことは決して無駄ではないと思えます。

 会社が推奨していることもあって受けたDTPエキスパートも2度目の受験で何とか合格。学科はともかく実技課題の方で良い評価をいただくことができたのは、作る仕事をしている立場としてはうれしかったし正直安心しました。
 就活時代の望みはほぼかない、良い先輩後輩にも恵まれ、大変ながらも楽しい毎日です。自分が作った作品の刷り上がりを見ることはうれしくはあるのですが、やはり画面上と紙上では違って見えていまだに不思議な感覚です。製作をしながら出来上がりをイメージできるようになってこそプロなのでしょうか!?
 やはりまだまだ未熟なところだらけ、早く一人前になれるようたくさん仕事をこなしていきたいと思います。

 

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2005年12月号


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2005/12/05 00:00:00


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