2005年は、日本経済が長く暗いトンネルを抜けて新しいステージに入った年と言われています。金融機関の不良債権処理に目途がつき、土地の価格は底を確認しつつあり、デフレ脱却は時間の問題で超低金利、超量的金融緩和時代も終局に向かい、株式市場は年末に入って活況を呈しました。GDPも内需中心でしっかりした成長を継続しました。
印刷業界では、上場企業全体の上期業績は増収増益、JAGATの定点観測による売上高も1%強、前年を上回りました。景気回復を実感できない印刷業界でしたが、年後半からは日本経済の景況との乖離縮小を示す兆候も見られ始めました。ただし、今後ともGDP成長率は1.5%程度と見られていますから、激しい受注競争は覚悟しなければならないでしょう。
ここ1,2年の動きは、あらためて技術が経済社会をリードすることを感じさせたのではないでしょうか。グローバル化の中で、デジタル、ナノテク、さらに省エネ、環境対応分野の先端技術と長年積み上げた技術ノウハウを持った日本の製造業の強みが確認されました。ITと技術ノウハウをうまく結びつけて、労働力が安い海外での生産よりもさらに低コストで製造する工場の稼動なども見られました。国内においては、1990年代末期から整備、普及が進んだITインフラの上に新たなサービス市場が次々と生み出されています。印刷に身近なところでもプラス・マイナス、さまざまな影響が感じられるようになってきました。
JAGATは、2002年に発表した印刷新世紀宣言の中で、印刷産業がこれから取り組んで拡大していけるひとつの分野としてクロスメディアを掲げましたが、2006年以降、クロスメディア関連ビジネスが本格的に立ち上がってくるでしょう。このような機を捉えて本年3月にクロスメディアエキスパート認証試験の第一回目を行います。2月1日〜3日に行うPageと同時開催のポスタルフォーラムは、多メディア時代における紙媒体の競争力強化と印刷需要喚起の技術、ソリューションをご覧いただく機会として開催します。
JAGATは、本年も印刷業界の将来展望、人材育成のお役に立てるよう一層の努力をしてまいりますので、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
2006/01/01 00:00:00