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JAGATネットワークアンケート報告(99/5/27実施)

ネットワーク推進者は役員・部長が中心なれど、内容はまだまだビギナー

(サマリー)

ネットワークを利用してのe-ビジネスでは先行した20%の企業のみが利益を享受できるとされている。DTP制作工程ではMACなどのLAN接続利用は一般化しているが、次のステップは業務フロー改善からEC化への対応まで、やるべきことはたくさんある。JAGAT会員のユーザー企業にこのような観点からアンケート回答をお願いして、125社/12.6%の回答を得た。

インターネット接続の方法では、専用線接続が回答の4割しかない。これでは8割以上がインターネット環境にあるという300人規模以上の企業(99年 通信白書)と対等に付き合えるのはJAGATユーザー会員の数分の一である。外部に公開しているホームページ有りは6割あるが、社内にインターネット用サーバーを所有しているのは4割程度である。しかし、WEBサーバーを所有して顧客のホームページを預かり、アクセス分析してマーケットデータをフィードバックするなどの新たなサービス付加などを意識しても良い。例えば、ホームページへのアクセスデータを周到に利用してのOne to one広告で、200億円のもの売上増を果たした自動車メーカーがあるように、ここには新たな電子ビジネスのシーズがころがっている。

社内用のホームページ活用は回答の1/4であるが、マルチプラットホームに最適なイントラネット環境整備こそ、営業を含む全社員にネットワーク教育ができるチャンスである。情報処理産業を標榜するのであれば、積極的に社内をインターネット環境にして社員に体現させるべきだろう。 社内情報化にLANが使われているのは半数以下である。またサーバーの利用範囲では、半数以上のサーバーは生産用に「バケツ」としての利用が中心のようで、情報化利用はわずか2割に過ぎない。

現状の業務用システムとしてのコンピュータは、未だ6割がスタンドアロン使用であり、社内の情報システムでのネットワーク利用は遅れている。コスト削減からEDIまでを目指すためのベースはネットワーク化されたビジネスの基本である。但し、今後の方向性への問いに対しては、7割はLAN+データベース使用の方向に向っている。 将来の社内ネットワーク拡大方針は、プリプレスや営業と業務システムレベルが半数であり、まだまだネットワーカーとしては駆出レベルと言える。

ネットワーク戦略の推進者は、役員、部長クラスが半分以上と評価できるが、会社の技術戦略を引っ張って行けるだけの知識力と判断力がともなっているCIO(最高情報責任者)であることを期待したい。ネットワーク推進者に経営企画力があるとの回答はわずか1/4で、また、2割の企業は技術専門で良いという。しかし、ネットワークは経営戦略を伴う重要な戦略技術になっていくことを理解して欲しい。

ネットワーク推進者への期待については、EC化推進力への期待と回答した17%の企業は、これから訪れるネットワーク社会でも十分に生き延びられるだろう。EC(電子商取引)化へのロードマップについては、概念を持つ3割の企業と無しの7割の企業があるが、無い、考えていない企業との意識格差は大きい。 顧客とのネットワークでは、EC化を意識しているところは1割に満たない。企業の情報システム同士が結び付けられて、新たなネットパートナーによる取引先グループが形成される時代への対応が求められる。 EC(電子商取引)へのロードマップ作成は6割が社内としているが、新しいビジネスモデルなどが伴うので既存の意識にとらわれないために外部を上手に利用したい。ネットワーク構築の方法では、外部業者をきちんとコントロールできる社内資質を養う必要がある。

アンケートの対象

JAGAT会員からメーカーディーラーを除いた991社に対し,ネットワークに関するアンケートを実施し,125件の回答を得た。
アンケート送付件数991 件(JAGAT会員中心)
回収件数125 件
回収率12.6 %

ネットワーク利用状況

1.インターネット接続の方法

『300人規模以上の企業と対等に付き合えるのはJAGATユーザー会員の数分の一』

 オープンなネットワークであるインターネットは、最近はエクストラネットやVPMなど業務利用もかなり多くなってきている。これらは、基本的には専用線の接続利用(つまり常時接続)が前提であるため、その利用状況の質問である。
 今回のアンケートでの回答者は、積極的にネットワークに取り組んでいる企業が多いように思えるが、それでも専用線の接続が回答者の50%以下であったことを考えると、一般的にはかなり少ないように思える。
 この比率から推計すると1000社のJAGATユーザー会員のなかで専用線で常時接続している企業は、多く見て5割の500社、少なく見れば回答者の60社ということになる。しかし、99年度の通信白書では従業員300人以上の企業でのインターネット利用は8割に達するので、情報処理業を標榜しようとしても大企業とインターネットで対等に付き合える資格のあるJAGAT会員の印刷企業には、残念ながら数分の一ということになる。


2.外部に公開しているホームページ

『印刷会社の公開ホームページは外部任せで、データ更新頻度も低い?』

 外部へのホームページの公開は、一般公開の部分でエクストラネットの部分があり、どちらも専用線利用によるホームページ利用である。
 専用線の利用率に比べ、公開しているホームページが多いのはプロバイダーなど外部業者にディスクを借りているか、または運用までもを外部にまかせているためと思われる。しかし、自社でのデータ更新を前提にする場合でも専用線が必要である。このため、公開しているというホームページのデータ更新が頻繁に行われているかに疑問がある。


3.社内用のホームページ

『低い社内ホームページ利用、イントラネット環境整備こそ営業を含む全社員のネットワークOJTであるのに・・・』

 情報共有をはじめとしたイントラネット利用のための、社内ホームページの質問である。
 外部に公開しているホームページに比べて半分以下と低いのは、WEBアプリケーションへの傾向がまだ進んでいないようだ。これからイントラネット化に伴い増える傾向にはありそうであるが、MAC、Windows、UNIXとマルチプラットホームを駆使している印刷会社こそ、生産情報や管理情報などを社内インターネット化すべきであるし、このような環境整備こそが第一線の営業にもネットワークセンスを自然に体得させることになる。


4.社内にインターネット用サーバーの有無

『電子ビジネスへの意識も道も、まだ遠い?』

エクストラネットやイントラネットを使うには、社内にインターネット用サーバは不可欠である。そのためこの状況の質問である。
イントラネットやエクストラネットを含めて、電子ビジネスを行うには、インターネットサーバが不可欠になる。まだまだ少ないようである。サーバーを所有して顧客のWEBページを預かることで、そのページへのアクセス状況などを分析したマーケットデータをフィードバックするような、新らたなサービスを付加することもできる。


5.LANの利用範囲

『社内情報化にLANが使われているのは半数以下』

 社内情報共有化を行うためには、一人一台のパソコンとネットワーク接続から始まる。このためこの状況についての質問である。
 回答者の半数以上ではネットワークとパソコンの普及が遅れており、準備を急ぐ必要がありそうだ。MACなどの生産機がLANにつながっていても、情報化しているとは言わない。管理情報を、LAN接続したパソコンでやり取りして(もちろん生産用MACにWEBブラウザーなどを載せて兼用使用でも良いが)、はじめて社内情報化にLANを使用しているということになる。


6.サーバーの利用範囲

『半数以上のサーバーは「バケツ」利用、情報化利用はわずか2割』

 現在のネットワーク利用では、サーバ利用は当然であるが、情報の共有化を行う場合には、管理ができる環境(データベース利用)が望ましい。このためこの状況についての質問である。
 デジタル化の基本には、ネットワークとデータベースが前提となる。ファイルサーバでは、管理が行えないため、業務関連を含めて情報の管理が遅れているようだ。


7.現状の業務用システム

『業務用システムとしてのコンピュータは、未だ6割がスタンドアロン使用』

 ネットワーク利用による業務環境の統合には、管理情報が他のシステムと連動する必要がある。オフコンやパソコン利用では連動は難しく、オープンなデータベース利用による業務システムがこれからは必要であり、この状況についての質問である。
 現在、オフコンやパソコンで行っている業務管理は、これからはネットワークとデータベースを利用したオープンな方向に行く必要がある。しかし、これから検討する企業が多い事を示している。


8.LANの今後の方向性

『LAN利用の7割はLAN+データベース使用へ』

 ネットワークとデータベースとの連動は、これからのネットワーク化されたビジネスの基本である。コスト削減からEDIまでを目指すためのベースで、この状況についての質問である。
 LANとデータベースの意識は高いので、業務用システムのデータベース化もこれに含まれると思われる。回答では6割がLANとDB利用へとしており、3割の現状維持派の1/3はすでに移行済みと見られるので、今後、7割の企業はこのような形態でのネットワーク利用となろう。


9.社内ネットワーク拡大方針

『ネットワーク拡大方針は1/3が営業へ、まだまだ駆出レベル』

 これからのネットワーク化されたビジネス時代を向かえ、全社をネットワークで結ぶ事が第一歩で、続いて関連企業やグループ企業を結ぶ時代となろうとしている。このためこの状況についての質問である。
 この結果としては、まだ第一歩として半数が全社レベルのネットワーク化をはじめる段階である。


10.顧客とのネットワーク

『EC化を意識しているところは1割に満たない』

 サプライチェーンマネージメントなどのネットワークビジネスの時代になると、顧客との連動はデータベースを中心に行われ、これからやってくるのはオンラインによる企業の情報システム同士が結び付けられた取り引きグループの形成である。このためこの状況についての質問である。
 このためには、編集用のデータと業務情報が連動してオンライン化される必要があるが、その意識はまだまだ低く、6割以上がE-mailやオンライン入稿が顧客とのネットワーク化と回答している。つまり業務フローはそのままで、情報や原稿の運搬をデジタル郵便レベルで行うという、ネットワークの入門的な使い方であり、EC化(電子商取引)を意識しているところは1割に満たない。


11.ネットワーク戦略の推進者

『役員・部長が55%であるが、CIOの資質があることを期待』

 ネットワーク戦略は、経営戦略と密接につながる時代である。このためこの状況についての質問である。
 結果は推進者として、役員、部長クラスが担当しているとの回答が55%ある。この点は評価できるが、会社の技術戦略を引っ張って行けるだけの知識力と判断力がともなっている、CIO(最高情報責任者)であることを期待したい。


12.ネットワーク推進者の経営企画力

『経営企画力のある推進者はわずか1/4、2割の企業は技術専門で良いというが・・・』

 これからの経営企画力はネットワーク利用によるビジネスとなろうとしており、技術状況の知識も要求される時代である。このためこの状況についての質問である。
 勉強中が回答が非常に多く、これからと言う傾向を示している。経営企画力のある推進者はわずか1/4とさみしい感じがするし、さらに2割の企業は技術専門で良いという判断をしている。しかし、ネットワークは経営戦略を伴う重要な戦略技術になっていくことを理解して欲しい。


13.ネットワーク推進者への期待

『EC化推進力への期待が17%、ここへの回答企業はネットワーク社会を生き延びられる?』

 前問が現状の問いであるが、この設問はネットワーク推進者の将来への期待を聞いている。回答からは経営企画力への期待が半数あり、EC化推進力への期待も17%ある。ここに回答した企業は今後のネットワーク社会でも十分に生き延びることができるだろう。


14.EC(電子商取引)化へのロードマップの有無

『EC化への概念を持つ3割の企業と、無しの7割の企業の意識格差は大きい』

 サプライチェーンマネージメントをはじめ、ネットワークによるビジネスが始まろうとしている。このためこの状況についての質問である。
 「無い」「考えていない」が多く、ネットワークに対する企業の意識格差の大きい。しかし一般企業でも有効利用や普及はこれからであるが、意識だけはしておいた方が良いだろう。


15.EC(電子商取引)へのロードマップ作成者

『ロードマップは新しいビジネスモデルなどが伴うので、既存の意識にとらわれないために外部を上手に利用したい』

 EC化実現へのロードマップを誰が描くのかという問いである。6割は社内で作成するとしているが、社内で新しいビジネスモデルまでを含めてどこまで詰められるか疑問もある。実績のある外部コンサルタントに依頼する方法が、近道で間違いが少ないだろう。外部業者は玉石混合であるので、自社システム売込みのために付け焼き刃で勉強した提案を持ち込まれないように注意したい。


16.ネットワーク構築の方法

『ネットワーク構築では外部業者をきちんとコントロールできる社内資質を養う』

 ネットワーク管理者もDTPやプリプレス部門の管理者ならば、社内養成も可能であるが、データベースを中心にした企業間接続が視野に入ってくる時代になると、養成だけでは間に合わない。このため、外部業者との連携が必要になるが、まだそこまでには至っていない傾向にある。


1999/06/28 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会