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検索サービスがインターネットを変える

ユーザは検索サイトや検索サービスを、欲しい情報をさがすためのひとつの「ツール」として何気なく使っている。しかし、コンテンツを提供する側は、Webにおける検索エンジンやブログ検索の上位に入るための工夫や努力を続けている。検索結果に表示されることが、認知度やアクセス数を高める近道だからである。

The Web KANZAKIでRSSなどの技術を紹介する神崎正英氏は、検索には(1)ユーザが利用する検索と(2)企業やコンテンツを作る側の検索の2種類あると語る。前者はユーザが検索サービスを使って欲しい情報を得ることを指す。後者は、コンテンツ制作者や企業側がより多くのユーザにコンテンツをみてもらう仲介役としての検索である。クローラといわれる検索ロボットがインターネット上の情報を収集する。コンテンツの露出を高めるためには、クローラにみつけてもらうことが重要なため、SEOなどの検索エンジン対策や、ブログであればpingサーバーに送信する。

ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントは、検索サービスを単なるツールではなく、人の行動を支援する「行動支援メディア」へ発展させることを目指す。検索エンジンのシェア争いは激しい。専門検索の得意な人が好むGoogle、初心者にとって手軽なYahoo!、最初からHOMEに登録されているからMSNという流れの中で、地道に日本語検索技術を強化しているのがgooである。NTTの研究所で日本語検索技術の研究を長年積み重ね、2005年にはジャストシステムと提携してさらに技術の強化を図り、日本語検索の精度を高めている。

gooの行動支援検索サービスの例に企業名検索がある。社名を検索すると、右側に頻繁に検索される項目が表示される。例えば、企業概要や株価の他、プレスリリースや、同業企業の社名までリストアップされる。また、常に新たな検索サービスの開発を行っており、そのβ版をgooラボというサイトで公開している。12月19日には「次世代型ブログ検索実験(http://labs.goo.ne.jp/)」がリリースされた。

検索というと、キーワードを入力して検索結果のリストを表示するので、画面を文字の占める割合が多くなりがちである。その中で、インターフェースを重視し、検索したキーワードから関連用語を表示して、ユーザ側の想像力を刺激するサービスも増えつつある。例えば「新書マップ」は、検索すると、その言葉と関連テーマ10個を探し出し、星座表のような関連図を表示する。表示されたキーワードをクリックすると、関連した新書の背表紙が表示される。新書マップは国立情報学研究所 高野研究室で推進中の実証的研究プロジェクト「新書マッププレス」が運営している。2005年12月14日現在、8215冊のノンフィクション・教養系の新書・選書のデータが収録されている。

コンテンツのメタデータを充実させることも、検索性を高める手段のひとつである。橋本大也氏がCOOをつとめるメタキャストでは、テレビブログというサイトで、過去の番組のメタデータを満載した番組表を掲載している。スタッフが24時間、テレビ放送をみながら番組の映像にメタデータをつける。過去の番組表のターゲットは、今後増加が見込まれるハードディスクレコーディングをするユーザである。ハードディスクの容量はどんどん増え続け、録画できる番組の時間も増えていく。そうなると、利用者側は録画したもの全てを覚えておくことが不可能になる。映像のメタデータのついた番組表を使うことで、見たいテーマやキーワードで検索することが可能になる。テレビ業界の関係者にも利用が広がっているという。

企業にせまる勢いで個人の情報発信も拡大している。情報の収集から選択、編集、発信すべてにわたり、それらの効率化や質の向上に、検索サービスは今後さらに貢献していくだろう。

◆関連情報

PAGE2006 <デジタルメディアトラック「C2 検索技術が創造する新たなコンテンツ
モデレータに神崎正英氏、スピーカーにNTTレゾナント 小澤英昭氏、国立情報学研究所 高野明彦氏という検索の世界では非常に著名な方々をお招きし、Web/ブログの最新検索事情について議論します。

2005/12/27 00:00:00


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