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物流、そしてユビキタスな情報発信で期待されるICタグ

ICタグは商品の在庫管理やトレーザビリティなどで製造・流通・販売などの分野において、先行して利用が進んでいる。セキュリティの分野での活用も関心は高く、大阪では安全な街づくりのためにICタグの利用実験を開始する。2006年2月から「ユビキタス街角見守りロボットの実証実験」を開始する。自動販売機などにICタグリーダーや防犯カメラ、センシングネットワーク等の防犯機能を装備し、ランドセルに取り付けたICタグを読み取ることにより通過検知や緊急時の通報を行う。

エンターテイメント情報や地域情報などを発信する実証実験も数多く行われている。美術館や博物館の展示の案内や街の観光情報を発信するなどである。

ICタグというとユビキタスジャパンを実現するので総務省の管轄のイメージがある。しかし、街にいたるところにICタグを設置するということで、国土交通省や自治体が実証実験を行うケースが増えている。自治体においてはとくに、ユニバーサルデザインの視点から、誰にでも観光情報や周辺地域情報が発信できる仕組みとして期待している。

東京都と国土交通省では、東京ユビキタス計画において、2005年10月から11月にかけて「上野まちナビ実験」を実施した。上野恩賜公園・恩賜上野動物園のエリアに300個を超えるICタグと無線マーカーから、場所にくくりつけられたucodeを読み取り、観光情報の提供や、ナビゲーションを行うというもの。多言語に対応しているので、海外の旅行者などの利用も想定している。

ユビキタス・ネットワーキング研究所と国土交通省が進めている「自律移動支援プロジェクト」では、点字ブロックなどにICタグを埋め込み、そこを通った際にリーダをうめこんだ白杖または携帯端末などで読み取り、目的地の正確な場所や入り口、施設情報などを利用者が得ることができ る。

このような実験であまり表に名前はでてこないが、上野まちナビ実験にしても自律移動支援プロジェクトにしても、ICカード・ICタグで高い技術を保有する凸版印刷が技術開発の部分で参加している。点字ブロックなどは、台車など想定していない人以外の重量のものが通過して壊れたりするため、従来の端末などの開発と異なる苦労も多いという。

数々の実験の経験を、凸版印刷では、2005年9月に「KOKOPASS」(ココパス)という情報やコンテンツ配信関連のサービス開発などへつなげている。KOKOPASSは、ICタグと携帯電話のメール配信を連携させ、店舗などに来た客へ情報提供する仕組みをASPサービスで提供する。携帯電話のメールアドレスと関連づけたICタグをリーダ/ライタにかざすと、欲しい場所でその場の様々な情報を携帯電話へメール配信する。目玉セールやクーポン、イベント・展示会等の特集・見所などのお得な情報配信や、イベント・観光地域等でのスタンプラリーなどの活用が可能となる。

同様のサービスとして、オムロンと小田急電鉄が自動改札機連動型情報配信サービス「小田急グーパス」を提供している。サービスに登録するとその人の属性や,嗜好にあった情報を、小田急の駅の改札を通過した直後に携帯電話に配信する。同様のサービスを企業が最初から独自で開発すると費用がかかる部分を、ASPサービスで提供するので、開発コストがおさえられる。

さまざまな実験では、情報を受け取る機器の携帯端末などもあわせて開発されている。しかし、すでに8000万の利用者がいる携帯電話がこの役割を担う可能性も高い。


PAGE2006 「C1 モバイルとユビキタスの進展」では、ICタグの実証実験をプロデュースする凸版印刷 西岡貞一氏がスピーカーとして参加します。

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2006/01/17 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会