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常識となったCMS利用と、先の課題

今日のCMS(コンテントマネジメントシステム)と呼ばれるものは、当初はアメリカのコンテンツホルダーである出版社や新聞社が、紙媒体での自動組版と合わせて自動Webページ制作やWeb発行管理や権利管理をするものを指した。これらは億単位の投資のものであったので、そのダウンサイジング版として簡易なWebページ生成システムが登場し、今では簡易データベースWebシステムの代名詞のようになっている。CMSはニュース報道のように内容のアップデートが頻繁なものに威力を発揮したので、変動する情報はWebを見ろ、というのが常識になった。この変動要素はサイトの性質によっていろいろ異なる。

ビジネスに使われるWEBのシステムは、表示や操作性を優れたものにすれば事足りるわけではない。ビジネスによる変動要素がWeb情報発信に関しても変動要素となり、そこがWebのシステムとしてもキモになる。商品にまつわる変動要素としては、アイテムの入替わり、価格の変動、評価・コメントの追加、などがある。価格の操作では、セールの中心を週単位で変えていくとなると、あるブランドのものはその期間2割引とか、ある顧客層にはその期間クーポンを発行するなどが必要で、これのためにCMSのデータベースを書き換えてはいられない。

これらはサイトが自分で変動させるものだが、このほかに仕入先など外部との連動で自動的に値段を付替えたり、説明情報を更新しなければならない場合もある。こういったことのためにAdsMLとか何々MLというものが次々と考えられていて、Webは変動する情報の発信装置という方向に進んでいる。Web2.0といわれるWebサービスやアフィリエイトなど「連携による効果」を発揮するためには、何々MLのように外部とシームレスにつながるデータ構造に対応するCMSが必要になる。

しかし今日のダウンサイジングし過ぎてしまったCMSでは、もはやそれらコンテンツの変動に対応する機能はないので、ログ解析ソフトのようにシステムを作り込むときに安く上げるための1ユニットのようになり、CMSはデザインとコンテンツをフレキシブルに結びつける役割を受け持つ。開発者はCMSで楽ができる代わりに、利用者の振る舞いの観察などに知恵を絞らなければならなくなっているようだ。

通信&メディア研究会会報201号」より

2006/01/21 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会