従来、MIS構築を考えるときには、受注管理、進捗管理、原価管理、在庫管理のように、
管理機能をシステム構築の要素ブロックとして扱ってきた。
印刷業界の経営管理へのコンピュータ利用は30年ほど前の給与計算あたりから始まり、現在では上記のような各種○○管理に使うことは当たり前になっている。また、MISベンダーが提供してくれるさまざまなアプリケーションは相当にこなれたものになっている。したがって、これからMISを作り変えるときに○○管理の内容を変更したり精度を上げるだけのグレードアップでは、大きな改善は期待できないだろう。
コンピュータと通信回線が、誰でもが使えるパソコンとインターネットになって「IT」と言い換えられたのは、新しいコンピュータと通信のシステムが従来にない機能を持ち、幅広い範囲で大きな成果をもたらし得るからである。
そのようなITを使ったMISならば、その機能も従来のような数字の計算と伝票・資料発行をやらせるだけのものとして考えるべきものではないはずだ。ITを有効に使ったシステムは、少なくとも現在の印刷業界における問題と今後の課題に照らしてみると、以下のような成果をもたらし得るからである。
1.緻密な経営実践による利益の水漏れ防止。
2.従来にない手段による自動化、ミス・ロス削減によるコストダウン、利益向上。
3.新たなビジネスモデル構築による顧客満足向上、新事業領域の開拓による売上拡大。
しかし、○○管理という視点からのみから見ていれば、「新たなビジネスモデル構築による顧客満足向上、新事業領域の開拓による売上拡大」を可能にするシステムなどは発想からして出てこないだろう。しかし、上記における差は、今後直接的に企業の体質、競争力、成長力の差になるはずだから、今後のIT戦略は印刷企業にとって経営戦略の柱のひとつになる。特に中堅企業にとって大きな意味を持つはずだ。
上記のような効果を狙うシステムを作ろうとするならば、コンピュータやインターネットにどのような働きをさせるか、という視点が不可欠である。当然、考える範囲もMISについてのみではなくEC/EDI等も含む広い範囲を視野に入れることが必要である。全体を見渡してみて、その上で自社に必要な部分を選び出してその内容を考え、石積みの建物を作っていくようにひとつひとつ要素ブロックを積み上げていくように進めていく。
印刷業がIT戦略としてこれから考えるべき全体とは、図1のような基本ブロックから構成されたものであろう。
それぞれのブロックはより細部の要素ブロックで構成される。たとえば、MISの要素ブロックと各ブロック間の関連は図2のようになる。
○○管理という視点だけから作るMISと、上記のような視点を加えて作ったMISでは、かなり違ったものになるのは明らかであろう。
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2006/01/25 00:00:00