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自動組版の進化をさまざまな角度から考察する

この数年、DTP分野では自動組版に関する開発が進んでおり、さまざまな分野で利用されるようになっている。先般のPAGE2006でも、自動組版に関する新製品の出展が目立っていた。

以前であれば、自動組版を求めているのは主に印刷会社であった。チラシ・カタログ制作の分野で、データベースと自動組版の活用により大幅に制作効率を上げることを目指していた。昨今、自動組版に期待される効果やメリットは、分野や立場によって異なっていることが特徴的である。

情報誌制作は、以前から固定レイアウトパターンと自動組版が主流であった。情報誌の多くは、広告出稿によって成り立っている。しかし、広告掲載主と制作会社間での広告データ入力とその校正のやりとりが、制作上の大きなネックとなっており、工程管理上でもコスト面でも負担となっていた。
最近では、広告掲載主がWebブラウザ上で過去のデータ修正や新規入力を行い、自動組版した結果を校正する方式が普及しつつある。結果的に広告掲載主にとっても制作側にとってもメリットのある方式といえる。

製品マニュアルの制作では、テクニカルライターが執筆したWordやテキスト原稿から組版レイアウトしていることが多い。しかし、校正・修正は校正紙に赤字入れするなどアナログ作業と同等であり、手間や時間がかかっていることも多い。XML化や自動組版を取り入れることで、校正・修正を大幅に効率化することや、Web公開の迅速化なども可能となる。

週刊誌などの編集では、編集者自身がDTP制作をおこなうことが理想と言われていたが、従来のDTPアプリケーションは操作も複雑であり、またフォントやMacなどシステムも高価であった。また、週刊誌のレイアウトは、データベース化やバッチ処理に適したものでない。したがって、印刷会社や専門オペレータに依存せざるを得ないものであった。
しかし、「流し込み」方式の自動組版やコンテンツ共有によりスキルレスDTP制作が出来るのであれば、スケジュール短縮やデータの2次利用、コスト削減などメリットも大きいと言えるだろう。

昨今の自動組版の進化は、柔軟性が高く、さまざまな分野でメリットを生み出す点が特徴的であると言えるだろう。

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スキルレスDTPによる新たな出版ワークフロー

2006/03/30 00:00:00


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