記事No.#1290-2003/6/16
関係を維持するメディアへ
ワン・トゥ・ワン・マーケティングという言葉は日本のビジネス界にすっかり定着したが,メディアにおいてもワン・トゥ・ワンの手法が求められてきている。
「もの」が飽和し,市場が成熟化した今,プロダクトアウトの姿勢ではなく,顧客一人ひとりのライフスタイルや嗜好,購買パターンや求めるサービスについてきめ細かく把握し,さらには,個々の顧客を知ったうえで,その要求にこたえて満足度の高い個別の対応をすることが求められる。そして,顧客とのリレーションシップに始まり,リレーションシップを永続することが求められるのである。
メディアにおいても,従来のマスメディアにおける一方通行のコミュニケーションから,顧客との1対1のコミュニケーションの時代に突入しているのだ。そして,広告もまたワン・トゥ・ワンの時代を迎えようとしている。
アメリカの「タイム誌」は,20世紀後半にはすでに,読者の居住地に合わせて広告を細かく刷り分けるテクニックを駆使した広告を掲載している。
「サクセスフル・ファーミング」(メレディス・カスタム・パブリッシング社)という農家向け定期刊行物では,1998年2月号において,3700種以上もの異なる特別編集版を作成している。例えば,大豆の栽培農家には,シカゴの穀物市場の大豆市況や,市況に影響を与える長期的な気象情報を,そしてトウモロコシの栽培農家にはトウモロコシの作付け情報や単位当たりの収穫量を増やす方法といったふうに,受け手が必要とする情報に応じて刷り分けることを実施した。
広告主もまた,トウモロコシ用の除草剤や大豆用の除草剤といったそれぞれのニーズにあったものを宣伝するようなことができるビジネスを展開している。
日本においても,そのような例は増えてきた。例えば,最近多く見られるフリーペーパーやクーポン誌。地域や年齢,職業別に,ターゲットを絞り,読者の求める情報を提供できるように仕掛けをしている。
Webメディアを利用し,顧客一人ひとりの情報をもとに,それぞれのニーズに応じて積極的に対応を変え,顧客の声を反映させた情報を提供し,顧客との関係作りに成功しているところもあるのである。
ただ,顧客との関係を作り,維持していくことは簡単ではない。顧客との対話を通じて,多様化した一人ひとりのニーズごとに柔軟な対応が求められる。
同じ顧客は1人としていない。年齢・性別・趣味・嗜好もみな違っている。それぞれに応じて適切なメッセージを送ることができれば,顧客の欲求は満たされ,リピーターとなり,さらには口コミで周囲に広がる。媒体は印刷であれWebであれ,このようなサイクルを作り,顧客との強固な関係作りをすることがこれからのメディアやビジネスにも不可欠だろう。
JAGATでは,7月16日(水),シンポジウム「顧客の顔が見えるメディア」〜「顧客との関係」で進化をはじめたメディアとビジネス〜を開催します。ここでは,顧客との強い関係作りに成功している企業のトップの方々をお迎えし,顧客と共に創るメディアのあり方と具体的ビジョンを探ります。みなさまのお越しをお待ちしております。
(注)会場が変更になりましたのでご注意ください。
会場:社団法人日本印刷技術協会
(東京都杉並区和田1-29-11 TEL03-3384-3111)
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