drupa2016の6大テーマにみる印刷業界の新潮流

掲載日:2015年7月23日

2016年5月31日~6月10日までドイツ・デュッセルドルフで開かれるdrupa2016では、すでに6つのハイライトテーマが提示されている。「印刷」「パッケージ印刷」「マルチチャネル」「機能性印刷」「3D印刷」「環境印刷」である。

インクジェットが横断的テーマに

drupa95が「CTPdrupa」と呼ばれて以来、「デジタルdrupa」(2000年)、「JDFdrupa」(2004年)、「インクジェットdrupa」(2008年)と、毎回ひとつの技術がハイライトテーマとして取り上げられてきた。前回2012年は「B2drupa」「パッケージdrupa」「All digital drupa」 などとも呼ばれ分散化したが、実用化に入りだした高速インクジェット機のB2対応やパッケージ対応がテーマとなったという意味では「インクジェットdrupaアゲイン」という呼称も相応だったともいえる。 これらの呼称は非公式に呼ばれるようになったケースもあるが、2016年の6つのハイライトテーマは主催者側が提示したものである。ただし過去2回焦点になったインクジェット技術は決して後退したのではない。むしろ6つのテーマを包括し、横断する技術がインクジェット技術になったのである。「印刷」や、生活資材系が堅調なことから取り上げられる「パッケージ印刷」はもちろん、「機能性印刷」や「3D印刷」でも、インクジェット技術は欠かせない。 6つのテーマのうち、この「機能性印刷」と「3D印刷」は、日本の印刷産業では意外にその市場性について議論されていないように思える。この項ではあえてこの2つの市場性を探りたい。

機能性印刷と3D印刷

「機能性印刷」とは「素材の上にコントロールされ、選択されたパターンで、機能性物質を堆積させる製造プロセスのこと」である。具体的にいうとセンサー、ディスプレイ、バッテリー、RFID、照明などの製造に使われる。印刷方式はインクジェット、スクリーン、フレキソ、グラビアなどさまざまである。機能性印刷の市場は2020年には137億9000万ドルに達するとの予測もある。ローコストで大量生産できる工程として注目され、ある経済誌は「第3の産業革命」として扱ったほどだ。 機能性印刷が活躍できるのはエレクトロニクスだけではない。近年特に注目されているのは有機体の印刷、すなわちバイオプリンティングである。今後数十年のうちに移植用の動脈や腎臓、肝臓、膵臓、心臓までが作られる可能性がある。新しい細胞を患者に直接噴射し、傷口を直す治療まで行われるようになる。美容整形の世界も変わるだろう。3Dプリンターは機能性印刷の手段の1つともいえるが、こちらは建築資材や部品など、用途はさらに広がる。

自らイノベーションを

さて、印刷会社はこれらの技術に対してどのように取り組まなければならないのだろうか。drupaの公式サイトでは「印刷(会社)はITから医薬品業界まであらゆる産業を統合する役割を担える」とある。イノベーターのコンセプトを形にする手助けもできるだろう。しかしより印刷業界が影響力のある産業になるためには、これらの技術を使って、自らがイノベーターになることだろう。

drupa2016の6つのハイライトテーマはあくまでメーカーやベンダーなど主催者側の提案である。その点を割り引きつつ、世界的な印刷の潮流をつかむことは意義がある。

JAGAT研究調査部 光山 忠良

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■drupa2016徹底検証~技術視点とユーザー視点から~

2016年6月20日(火)14:00-17:30

drupa2016を視察した識者4氏が、技術的視点から、またユーザー視点から総括、徹底検証する。