デジタル輪転機の可能性

掲載日:2016年5月30日

ロール給紙のデジタル印刷機のことを「デジタル輪転機」と呼ぶこともあるが、オフセット輪転機との決定的な違いがある。用紙幅が自在であることである。

drupa2012が「B2drupa」と呼ばれたように、近年はデジタル印刷の枚葉機がスポットライトを浴びている。drupa2016でもハイデルベルグやランダがB1枚葉機を出展するとして注目されている。多くの印刷会社にとって枚葉印刷機は馴染みがあって、従来のワークフローとも親和性があり、オペレーションも楽であると考えているからだと思われる。
しかしdrupa2016では、HP、キヤノン(オセ)、スクリーン、コダックなどが、軒並み高速のロール給紙機を発表することもしっかりと押さえておく必要がある。これらの中では最大1067ミリ(つまりB1幅)、毎分300mに達するものもある。
オフセット印刷でもわかるように、ロール給紙機(Web Press)は枚葉機(Sheetfed-Press)よりも生産性が圧倒的に速い。エア調整など複雑な搬送機構を必要としない。ロール給紙にはウェブの蛇行という不安定要素はあるものの、よりシンプルに高速化できる点が大きい。
オフセットの場合、輪転機はロールの用紙幅が基本的に変えられない。B系のオフ輪はB系のロール紙、A系のオフ輪はA系のロール紙しか使えない。そのためB系のオフ輪しか持っていない印刷会社がA系の印刷物の受注が来たときは、仕事を断るか、外注するか、大量のヤレを覚悟でB系のオフ輪で刷るかになってしまう。スリーブを交換してカットオフを変えられるバリアブルカットオフ・オフ輪もかつて開発されたが、オフ輪の武器である生産性を犠牲にするものとして現在は出回っていない。
しかし、デジタル印刷の場合、ロール紙のカットオフが自由に選べる。例えば16インチ~42インチまでハンドリングできるロール給紙機もある。
ロール給紙のデジタル印刷機は生産性も柔軟性も兼ねるということになる。ただし小ロットが生きるデジタル印刷において、ジョブごとにロール給紙を変えるのは現実的ではない。枚葉印刷機以上に、ジョブをサイズごとにギャンギングするワークフローの自動化が求められる。製本ラインとの連結も大きなテーマだ。
一方、デジタル枚葉機は、ロール給紙では対応できない用紙厚にも対応する。パッケージ対応をうたうインクジェット枚葉機が増えてきたのも、パッケージの市場性もさることながら、枚葉機の特性を考えての戦略ととらえることもできる。

(JAGAT研究調査部 光山 忠良)