「製版屋さんのまかない雑貨」~印刷技術を活かした商品開発~

掲載日:2020年7月10日

現代の印刷ビジネスにおいては、顧客の多様なニーズに応えるとともに、新たな収益を確保するためにも新商品・新サービスの開発が求められている。去る7月4~5日の2日間、(株)日光プロセスが錆猫ギャラリー(吉祥寺)において「製版屋さんのまかない雑貨」展示・即売会を開催し、製版屋ならではの紙を使った商品を中心に展示・販売をした。

 

(株)日光プロセスは、東京都墨田区に本社があり、製版を中心にポスターやカタログのフォトレタッチ、インクジェットプリンターによる大型ポスターなどを手掛けている。
また、昨年はJAGATの大型セミナー「印刷ビジネス開発実践講座(全7回)」に参加し、その具体的な成果をpage2020にて発表・展示するなど、新商品・新サービスの開発にも熱心な企業である。
今回、新しい取り組みとして、製版会社ならではの紙を使った商品を中心に
「製版屋さんのまかない雑貨」展示・販売を行った。

 

会場に入ると、シルバーペーパーにホワイトインキなどで印刷、「prefa」の文字に、一文字ずつインキの厚盛を変えた遊び心あるポスターが出迎えてくれた。

 

 

 

 

 

 

展示スペースには「マスクケース」や「レターセット」と日常で使用できるものから、松竹公認で隈取などをキャンバスで表現した「歌舞伎キャンバスアート」などのインテリア雑貨、子どもが喜ぶ「切り離して遊べる塗り絵」や「紙版画」など、豊富なバリエーションをそろえ、棚に並ぶ商品は一つひとつにこだわりや想いが込められ、思わず手に取ってしまうものばかりだ。

 

 

優しい色のマーメイド紙や、塗工紙のパーフェクトWに模様などをデザインしたマスクケース、春夏秋冬を感じられるレターセットなどが並んでいる。歌舞伎キャンバスアートは、キャンバス生地にインクジェットで印刷、パッケージにもホワイトインキや透明インキが使用され、こだわりが感じられる。紙版画は、いくつかの版に色を重ね、一つの絵を仕上げるもので、子どもが遊びながら浮世絵を学ぶことができる。

 

また、展示会場の一角で古墳グッズも販売されていた。
もともと古墳好きな社員が、趣味でイラストを描いたり、新聞を作成していたことが、商品化へのきっかけだ。フリーペーパーの古墳新聞には、特種紙のタブロが使用され、両面印刷で、子どもから大人まで読めるようイラストや文字に工夫がされていた。他にも、埴輪カレンダーや家形石棺・前方後円墳のペーパークラフト、銅鏡キーホルダーなどデザインやカッティング加工の細部にまでこだわりがあり、印刷会社だからこそできる技術を活かした商品が数多く並んでいた。

 

 

 

社員の趣味や好きなことを形にし、ビジネスへと展開することにより、社員のモチベーションが高まる。社内コミュニケーションが活発になることで、離職率低下や組織の活性化となり、より一層、企業価値が高まることにつながる。
会社と社員が一体となり、自社技術の活用、そして紙ならではの表現力や新たな可能性を見出しており、今後の印刷ビジネスの展開に注目していきたい。


JAGAT CS部 加治 寛子

 

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