【マスター郡司のキーワード解説2020】ウェブ会議システム

掲載日:2020年8月31日

今回は「ウェブ会議システム」について考える。

JAGAT 専務理事 郡司 秀明

ウェブ会議システム

前号までレンダリングインテントについて述べてきたが、印刷業界はPhotoshop(をはじめとした三種の神器)でカラーマネジメントすることが多い。

アドビソフトの場合は、伝家の宝刀「黒点補正」機能があり、これをONにすると「相対的」も実質には「知覚的」と大差ないというのが結論だ。黒点補正を入れない場合は「知覚的」の方が調子再現性は良く、黒点補正は「知覚的」では関係しないので、初めから「知覚的にしておけば良い」ということになる。ホワイトがシフトするのが「相対的」の良い(?)ところなのだが、これについてはレタッチで行うべきという意見も多いので、JAGATとしては今後、さまざまな方面から意見をいただくような活動に発展させていきたい。

従って今回からは話題を変えて、コロナ禍で俄然注目を集めているウェブ会議システムについて考察していきたい。

鉄腕アトム等が描かれた時代は、未来に電話がテレビ電話になることを誰も疑わなかった。しかし、電話がテレビ付きになるということは、どうもなかったようだ。スマホにそのような機能が付いても、Skypeが流行しても、顔を写して意思疎通することにメリットがあるとは、あまり認識されなかったのだ。声だけしか聞こえない電話の方が、恋人同士でも価値が認められていたようである。認められるのは、理事会等での本人確認や営業的な相談だけだろう(表情から腹の中が想像できる)。それに孫との会話か? 理事会の時にはビデオを撮っておけば、出欠や賛成反対の決議等でもわざわざ特別なことをやらなくても挙手でなんとかなる。そういうことに特化した仕組みが「ウェブ会議システム」である。

しかし、「ウェブ会議システム」が本格的にはやりだしたのは、コロナで“Stay home”が叫ばれてからだ。最初は居直りとも思える「テレワークという名の休日」だったが、旅行に行くわけにも行かず、食べ歩きもダメ、ダメ、ダメなので、さすがに働かないといけないということでウェブ会議システムを使用するようになったのだ。

JAGATの場合は、こういう時こその勉強ということで、通信教育を全職員に受講してもらった。理事会もウェブ会議で行うことにしている。JAGATの理事会もそうなのだが、印刷会社の会議だと20名から25名あたりが一番多い。ウェブ会議システムの中でも一番普及している「Zoom」だと、この人数くらいがちょうどよい。初めて「Zoom」を使っても、何らストレスなくできると思う。ウェブ会議が一般的になったのが、コロナ禍での数少ない良いことだと思う。ウェブ会議システムだと、一般的な会社では会議に利用するというのが多いと思うが、JAGATの場合はセミナーにも使用する。それぞれで機能が異なるオプションになっているケースも多く、JAGATの場合は「Zoom」プロアカウントにウェビナーオプションを付けて契約している。

ウェブ会議システムの老舗というと、まずルーター老舗のシスコから提供されている「Webex」が思い浮かぶ。シスコといえば暗号化等のセキュリティー技術で有名だが、そのシスコが提供しているとなれば信用できると言えるが、個人的には重い感じも否めない。Zoom社創業者のエリック・S・ヤンがシスコ社(Webexもシスコに買収されたので、そこの出かも?)の出身であり、「Webex」でやりきれなかった思いを「Zoom」にぶつけたとも言えるので、画質や音質共に最良&サクサク動く。「軽さ」は、不慣れな人間にはオペレーションの簡便さよりも使いやすい。また、軽いから、システムがフリーズしたり落ちたりすることもほぼないのだ。

私は大学でも教えているが、遠隔授業を行っており、Googleを利用している。ウェブ会議システム的にみるとG suiteの「Meet」というシステムを使用しているのだが、GmailとG suiteの「Classroom」と合わせて、大学教育に特化するようになっている。私の場合、スケジュール管理(カレンダー)もGoogleに牛耳られているので、思いっきりGoogle任せにすれば連動して非常に便利だ(もうプライベートはない?)。それをもう少し会社っぽくしたのが「Microsoft Teams」だ。情シス主導でノーツ等を使った会社などは、「Webex」にいくか(セキュリティー技術志向だと可能性大)、普通の情シスだと総合的に使用できる「Teams」だろう。「Zoom」ほどはサクサク動かないが、Google的に各機能が連動して動く。最近のマイクロソフトは、憑き物がなくなったようにスマートになったので、二重丸ソフトだ。今回はここまでの枕とさせていただくが、私なりの感想を三回くらいに分けて語ってみたい。