テレワーク導入と働き方

掲載日:2020年9月9日

国内のテレワーク実施率は、20~30%という統計が多い。業種別でみると情報・通信、学術・研究、金融・保険業などが高く、対面が基本のサービス(宿泊・飲食)、運輸、医療・介護業などが低い結果だ。
海外と比較してみると、在宅勤務など柔軟な働き方を導入する企業の割合は、ドイツ、オランダ、米国の約7~8割に対し、日本約3割と2倍以上の開きがある。要因として、IT環境整備の周回遅れ、も一因だが、対面によるプロセス管理に代表される働き方・評価への課題がある。
テレワークの具体的メリットは、やはり時間を有意義に活用しやすい点だろう。別のテレワーク調査では、効率はさほど上がっていないが、自宅勤務には満足しているといった結果がでている。ちなみに、来年就活する学生を対象にした調査では、テレワークを導入できるのにしない企業に対し、悪いというイメージは8~9割に達している。これから働く者にとっては、考えが古い、ブラック、守ってもらえない等の厳しいイメージだ。

テレワークはできることから、そして範囲を広げる

テレワークは、実施する社員自身の心理状態により成果が左右される。当然、自律性や自由裁量が高まるので、満足度向上につながりやすい。ワーク・ライフ・バランスも改善されるので、退職防止になる。課題としては、キャリア形成や企業への帰属意識の低下になりやすいことがあげられる。こうした環境下のリーダーは、企業内の改革意識とコミュニケーション力が求められる。
また、テレワーク導入の働き方では、ジョブ(欧米)型、メンバーシップ(日本)型という雇用形態の違いが大きく影響する。簡単にいうと、ジョブ型は、仕事に人がつく働き方であり、メンバーシップ型は、人に仕事がつく働き方だ。ジョブ型のメリットは、雇用のミスマッチ防止や人材の流動性の高さにある。一方、メンバーシップ型のメリットは、雇用が安定しやすい、経験のない若者(新人)も仕事につきやすいなどがある。
テレワークの導入では、まず「いつ」「誰が」「何を」の基本3項目を決定する。できることから始め、範囲を広げていくとよい。在宅勤務が多くなるため、(労働時間に応じて賃金をきめるのではなく)成果型制度を基本とするジョブ型が後押しされる傾向にある。すぐさま欧米のようにはいかないが、社内の人材流動を増やすことがまず現状打開の一歩になる。

コロナ禍を機に考えること

最近よく見る「当面の間」という言葉を使えば、当面の間、非接触が新標準になりそうだ。世の中はリスク低減のため、なるべく手で触れないシステムに移行していくだろう。しかし、人間はタッチ、接触することにより、心地よさ、気持ちよさが伝わるなどメリットも多い。その効果は、ストレスを低減させたり幸福感をアップさせたりする。皮肉にも、社員が幸せを感じる職場は短い会話が頻繁に交わされる環境(≒3密)だ。
また、JAGATでは印刷会社の見える化を促進しているが、幸せが見える化できるアプリも開発されている。幸せな社員は、そうでない社員より生産性が高いと言われている。しかし、日本の職場では良好な関係と感じている割合は諸外国に比べ極めて低い状態だ。たとえば、あなたの職場は(未来に入る)社員にとって良好、魅力的な選択肢になっているだろうか?そもそも会社の魅力って何か?と考えてしまう。
そこには、職場の(良好な)関係性や(仕事に対する)感謝の気持ちが重要だという。お金では買えないのでコツコツ築き上げるしかない、育む文化なのだ。良い文化は会社を繁栄する効果があるという。先日、ある会社(社員のほとんどテレワーク中)の社長さんとお話しする機会があった。社員って何だろう、よくやってくれる外注(協力会社)さんと何が違うのだろう、と考えてしまったという。コロナ禍を機に、人として企業として今後世の中に役立つこと、そして会社の魅力を考えてみたい。

(西部支社長 大沢 昭博)

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