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『JAGAT info』2023年6月号

『JAGAT info』2023年6月号表紙

特集 page2023開催報告

問題解決型営業への変革

株式会社アサヒコミュニケーションズ 代表取締役社長 新井 貴之 氏
株式会社エクシート 代表取締役社長 出口 淳 氏
公益社団法人日本印刷技術協会 研究調査部 担当部長 花房 賢

特別企画

顧客体験価値を高める実写VR制作「VR360」

東洋美術印刷株式会社 デジタルマーケティング推進部 プロダクトマネージャー 石井 陽太 氏

連載

■印刷界OUTLOOK
折込広告
研究調査部 藤井 建人

■マーケティング・ナウ
第16回 印刷物とウェブサイトの受注・作成・納品における違い(中編)
本間 充

■キーワード2023
ChatGPT(その壱)
専務理事 郡司 秀明

■デジ印奏論
49 AIとデジタル印刷
星 輪太郎

■経営情報
正しいリーダーシップの在り方(前編)
株式会社GIMS 佐藤 穣

■技術トレンド グラフィックス
グループ会社の統合を機に基幹システムを刷新
~アフターコロナに向けて前に進むアサプリグループ
研究調査部 花房 賢

■デザイン・トレンド
グラフィックトライアル2023 ‒Feel‒
見る者の感情を動かす印刷表現に挑戦
研究調査部 石島 暁子

■専務のつぶやき
27 ChatGPT騒ぎで、人材について考え直させられる
専務理事 郡司 秀明

■ワールド・プリント・サテライト
印刷業の「創注」につながるトピック ほか
研究調査部 丹羽 朋子

■デジタル印刷最前線
IJガーメントプリンターで究極の生産効率を目指す
株式会社イメージ・マジック

■マーケティング情報
流通小売業の成長戦略
―飽和する市場で成長するチェーンの共通項―
研究調査部 藤井 建人

■Education
効果的なDM作成の企画提案に求められるスキル
CS部 加治 寛子

■森 裕司のデジタル未来塾
135 環境設定を見直そう!

■エキスパート資格
第59期試験講評~マイスター20名、エキスパート49名を認証~
資格制度事務局 丹羽 朋子

■西部支社便り
仕事ができても、良い判断はできない
西部支社長 大沢 昭博

■DTPエキスパートのための注目キーワード
広色域印刷の推移
研究調査部 千葉 弘幸

■クロスメディアのトレンドワード
DXとデータ利活用
課題に応じたデータ収集(前編)
影山 史枝

■ニュースラウンジ
「日本タイポグラフィ年鑑2023作品展」開催 ほか

■印刷経営ウォッチング

■消息

■JAGAT事業のご案内
『みんなの印刷入門』のご案内/第2期「DM企画制作実践講座」のご案内/図書のご案内

2023年6月15日発行 A4判 60ページ オールカラー

JAGAT info 最新号

JAGAT info バックナンバー

アプリレス、ゴーグルレスで利用できるWeb AR/VR

AR(拡張現実)は新たなユーザー体験を提供し、印刷物の効果をより高める技術として注目され、取り組む印刷会社も多い。しかしながら、利用するにはアプリのダウンロードが必要なことからユーザーからは敬遠されることも少なくない。エイシス株式会社は、2016年11月に設立されたベンチャー企業で現在の従業員は8名と小所帯ながら、Webデザイン、Webシステムの企画、開発、運用を行っている。柱となっている事業がWebAR、WebVRである。JAGAT印刷総合研究会において代表取締役の齋藤瑛史氏に取り組み状況を伺った。

アプリレス、ゴーグルレスが強み

一般的にARやVRを利用するにはヘッドセットやARグラスを身に着けるか、スマホの場合は、アプリをダウンロードして利用することになる。しかし、ヘッドセットを購入するには費用がかかるし、メガネをかけている人や髪形を気にする人には敬遠されがちである。また、アプリのダウンロードについては、最近アメリカで行われた調査では、スマートフォン所有者の最近1か月の新規アプリインストール数の平均はほぼ0であった。そして、1日に使用するアプリ数の平均が約3であった。したがって、スマートフォンにたくさんのアプリが入っていても普段使うものは非常に限定されている。かつ、アプリの8割から9割は一度使われただけで削除されている。

また、開発者側の視点からすると、どんどん登場する新しいデバイスへの対応やAndroidとiOSのどちらにも対応し、かつOSのバージョンアップに対応し続けるというのはかなりの開発負荷である。

これらの課題をクリアするものとして、当社が力を入れているのがWebAR/VRである。アプリをインストールする必要がなく、そしてヘッドセットを装着することもなくARやVRの体験が可能である。

WebVRのサンプルとして「寿司ぽっぷ」というゲームを紹介する。渋谷のスクランブル交差点の3D空間を舞台に空から降ってくるお寿司に視線を当てて地面に落とさないようにするという簡単なゲームである。3D空間のデータとシステムを組み合わせてWebブラウザ上でより気軽にVR体験することができる。

WebARのサンプルとして、「ウェブモン」というゲームを紹介する。マーカーであるカードをかざすと、ARコンテンツとしてモンスターが現れる。それを自分のキャラクターとして登録し、別のカードをかざすと敵役のモンスターが現れ3Dで対戦がはじまる。

多くの人にリーチ可能で拡張性が高い

WebAR/VRのメリットを整理する。一つ目は多くの人にリーチ可能であること。当社の事例ではアプリインストール型と比べて数倍のアクセス数となった実績がある。アプリをインストールするためにパスワードを入力したり、指紋認証したりという手間と新たなアプリを入れるという心理的障壁はかなり大きい。QRコードを読み取るだけで簡単にアクセスできるというWebARのメリットは大きい。

二つ目は開発や保守が容易であること。iOSとAndroidの双方に対応したり、複数のVRコンテンツストアに対応するのは大変である。OSのバージョンアップやストアの審査への対応もある。Webで動作すれば審査はないので、VRコンテンツを状況にあわせて柔軟に修正することができる。

三つ目はWebならではの拡張性があることである。既存のWebサイトに組み込むことができ、ECサイトとの親和性が高い。また、ブックマークやSNSシェアなどWebの機能をそのまま利用できる。Webの新しい技術でAndroidではWebサイトからユーザーにプッシュ通知ができるようになる。Webの進化に合わせていずれはアプリと同等の機能が実現されるだろう。

活用事例としては、人気ミュージシャンのライブプロモーションにWebARが採用されたケースがある。ライブグッズにQRコードが印字されており、そのリンクからミュージシャンのグッズや本人たちの映像が再生されるなど、よりライブを盛り上げる演出がされている。
また、食品メーカーのキャンペーンでWebARの採用が検討されている。お菓子のパッケージにマーカーが印刷されていて、読み取るとキャラクターが出現する。キャラクターと写真を撮ったりSNS投稿すると抽選でプレゼントが当たるというものである。アプリ不要という点が高く評価されている。

さらに製品メーカーのパンフレットにおいても採用する方向で検討が進んでいる。パンフレットを渡した相手だけでなく社内でもコンテンツを共有してほしいので、アプリ不要は魅力的である。印刷物との親和性が非常に高いので、今後の動向に是非、注目していただきたい。

(研究調査部 花房 賢)