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グラフィックアーツ関連業でもデジタルサイネージが話題になっている。JAGATでは単なるデジタルサイネージへのビジネス展開だけではなく、紙への印刷+デジタルサイネージという複合ビジネスという提案を行っている。
グラフィックアーツ関連業でもデジタルサイネージが話題になっている。デジタルサイネージは電子POPとも位置付けられ、印刷業の隣接部分に位置するもの(メディア)だが、JAGATでは単なるデジタルサイネージへのビジネス展開だけではなく、紙への印刷(この場合デジタル印刷が多い)+デジタルサイネージという複合ビジネスという提案を行っている。
アンチMassとして台頭してきたデジタルサイネージではコンテンツの数も当然多くなり、コンテンツ産業を目指している印刷関連業などが参入しない手はない市場である。しかし、あくまでデジタルサイネージビジネスの本流はネットワーク的な配信、番組配給ビジネスにあり、東京の印刷会社が参入した場合、そのビジネスはコンテンツ制作だけの下請け的な色が濃くならざるを得ない。東京の場合はテレビ局、代理店系、運輸を含むサービス業、商社がこの市場を狙っているのが現実なので、安易な参入は難しい。しかし、東京以外の印刷業はそのエリアの広告の主導権を握っているケースも少なくなく、保守本流のデジタルサイネージビジネスも印刷業の射程範囲である。
印刷会社にとって、紙用に作ったコンテンツを最大限活用して、デジタルサイネージコンテンツも一括して請け負う総合的なコンテンツ制作ビジネスとしての強みを発揮していけばいい。しかし、可能性の有無は冷静に判断しなくてはならない。
すべての印刷会社に勝機(商機)があるのは、スタンドアローン型とも言える電子POPで、紙POPやチラシ・パンフなどともリンクしていると非常に訴求力のあるアイテムとなる。これがいわゆる「&の力」とJAGATが言っているものだが、Adobe CS4からはFlashフォーマットに吐き出せるし、PowerPointなどからデジタルサイネージコンテンツを作成するアプリケーションやコンテンツ作成ASPなどが登場し始めている。InDesignからのFlash保存(吐き出し)はCS4の目玉機能となっている。
デジタルサイネージはインターネットと比べるはるかに秩序ある世界である。資本を持つものがミーティングポイントに投資をして、マーケティング情報に基づいてデザイン・企画力を駆使してベストのコンテンツを作成し、ジャストフィットのコンテンツを訴求するという大人の世界である。
スタンドアローンのデジタルサイネージでもアイテムを絞り込めば効果抜群だ。例えばプロ野球では今年セパが始まって60周年で、ベースボールマガジン社では大々的にキャンペーンを行っている。その売り場にデジタルサイネージを置き、デビューしたての長嶋が金田に四三振を食らう姿、王の756号などが映っていたらどうだろう。そこに関係書籍があれば間違いなく売れるはずである。ちなみにこの企画は既にスタートしているのでまた別の機会に報告したい。
(『JAGAT info』2009年4月号より)