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ケータイは、量的にはすみずみまで行き渡り、端末の多様化はますます進んだ。
前回にも書いたが 、端末の高機能化で可能性の塊みたいな情報端末を、日本では一人一台くらいの割合で所有している計算になる。また、モバイルという観点から考えればケータイだけにとどまらず、いまや様々なデバイスからネット接続によるサービスを展開している。
スマートフォンはiPhoneやブラックベリーなどの市場にAndroidを採用した端末が投入されたし、ネットブックは昨年から続く好調に加えて、Google Chrome OSを採用した低価格モバイルPCも2010年に発売されると予想されている。ゲーム機器もネットと親和したサービスは当たり前となっていて、ニンテンドーDSiやPSP goなどブラウザ搭載やゲーム以外の用途などをアピールして、ケータイが競合となるような利用時間の食い合いが起きている。
電子書籍端末などもAmazonのキンドルが話題性は高いが、ほかにもバーンズ&ノーブルのNookやソニーリーダーもプラットフォーム争いに参加している。扱えるフォーマットも違うので、本来であればブルーレイとHD DVDのときのようにユーザは静観しそうなものだが、電子書籍端末はホリデーシーズンには売れ行き好調なようで、ソフトの低価格化や通信料を負担しているなどのメリットもあり、ユーザは飛びついている。
こういった端末の多様化は今後も進むはずである。
ソフトのほうでいえば、アップルのApp Storeは先日30億ダウンロードされたことを発表した。10億ダウンロードに達したのが昨年の4月である。実に驚異的な伸びをみせた。アプリの登録数は10万本を超え、一日あたり数百のペースで増えているのだという。
Webで勢いのあるサービスのほとんどが、iPhoneなどでも展開されている。もちろん特性はあるので、PCとモバイルの垣根が無くなっていくということではない。しかし例えばFacebookやミクシィが、iPhoneからでもアクセスできることは必然といえる流れであろう。それは、ケータイだからとかiPhoneだからとかの区別ではないということである。
コミュニケーション・ECのあり方も、モバイル抜きにはあり得なくなった。フィルタリングの課題はあるが、10代のケータイへの接触度・依存度がこれから減るということはないだろうし、現在のそのような10代の人々が後年の主力購買層へ推移していくわけだから、ユーザの囲い込みもずっと課題になるはずである。
このへんはライフログ、クラウドあたりの要素と結びつきあうといった方向に収束するだろう。つまり、個々の情報とか機能、ケータイでいえば電話をかけたりメールをしたり写真をとったりウェブをみたり、そういうときのアドレス帳やメール履歴、写真の保存、ブックマークなどは端末に依存せずデータはオンライン上にあって、すべては記録されて行動履歴や嗜好の精度は高まっていく。
WiMAXやLTEなどの話題もある。無線ブロードバンドはFTTHやADSLの存在を脅かす可能性を秘めている。情報家電も含めてケータイに、リッチコンテンツが常時届く。もしかしたら2010年は身の回りがガラっと変わるかもしれない。プラットフォームを作ったもの勝ちというような風潮が最近はよく言われるが、自社・自分の立ち位置をどこに置くか。再度検討する時期に来ているのではないだろうか。
【C5】 進化・拡大するケータイ活用ビジネスの最前線