本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
PAGE2011 CM1開催報告。印刷・広告・デジタルサイネージとの連動により、多くの顧客接点を生むソリューション「AR(拡張現実)」とは
PAGE2011の2日目、2/3(木)12:30-14:30で開催したカンファレンスCM1「提案事例から知るクロスメディアの本質 」では、紙とWeb、モバイルなどを組み合わせてどのような効果を挙げるのかを考察した。その中でARについて内容をご紹介する。
※セッション全体については、既にロフトワークさんのWebサイト にて詳細なレポートが掲載されています。こちらもご覧ください。
2010年から2011年にかけての変化として、以前はARの認知度がそもそも低かったこと、マーカーに対するオブジェクト表示が主だったこと、iPhone利用者が徐々に増加しつつあったことがあった。それに対して現在は、iPhone利用者は大幅に増加し、各キャリアからAndroid機も発売された。次世代iPadにもカメラが搭載されると予想されており、ARについてもただ表示するだけでなく、表示した後のコンバージョンが重要視されるようになった。また、この一年で集客や商品訴求のため積極的に利用されるようになった。これらはAR単体ではなく、他媒体との連動で効果を発揮するという。
ARの用途として整理すると、
・インタラクティブ電子絵本
・雑誌、カタログ、チラシ
・商品のWebプロモーション
・展示会/イベント
・デジタルサイネージ
・グリーティングカード
・位置情報と関連付けた情報提供
・ゲーム(玩具、ゲーム機向けが中心)
などである。
ARを実現する手法としては、以前はARマーカー(通常は白黒の四角い形状)をWebカメラで認識する方法が主だったが、ここから発展して、絵・画像・ポスターなどの印刷物を認識するものも増えてきた。これらは既存の印刷物を利用できる。また、ゲーム機などで話題となったが、顔認識や手・体の動きを利用するものもある。また、家具の設置状況をシミュレーションしたり、位置情報を利用するスマートフォン連動のものなど、画像認識の向上から様々なシーンで活用されるようになってきた。
会場ではデモも行われた。そのなかで反応が大きかったものが、TISSOTの腕時計をプロモーションするものである。
http://www.tissot.ch/reality
実際に腕時計をWeb経由で試着するようなもので、仕組みとしてはマーカーを印刷して手につけWebカメラにかざすというやり方であり初期のARの技術ではあるが、腕時計を試着するという体験をさせてくれるソリューションは非常にわかりやすい例といえる。
ARを成功させるための要件としては、事前に使用を告知すること、アプリのインストールや起動に負担がかからないこと、ターゲットユーザがその端末を操作できること、などを挙げた。
ナレッジワークス亀山氏のブログでは、ARについての海外国内情報が網羅されている。ご興味ある方はぜひご覧いただきたい。
http://development.blog.shinobi.jp/Category/47/
(JAGAT 研究調査部 木下智之)