本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
用紙代は印刷会社の材料費の8割近くを占め、印刷業界で印刷される印刷用紙は年間1千万トン以上と推定されている。
しかしながら、印刷会社と紙流通(代理店、卸商)との受発注は依然として電話やFAXが中心であり、旧来の商慣習も根強く残っている。
標準EDIの実現により、このような旧態依然とした状況を改善し、両業界の経営効率化を図るべく(株)カミネットが中心となり「P2P研究会」が2007年10月に発足している。
なお(株)カミネットとは、紙パルプ業界及び関連業界(物流会社など)向けの標準EDIのインフラを提供するVAN会社である。
P2P研究会のメンバーは、印刷会社向けシステムベンダーと卸商向けシステムベンダーを中心に構成されている。これにはデータ交換の標準化を優先的に検討し、両業界のシステム同士がデータ交換できる環境を整備することで、ユーザの初期投資費用を抑えたいという意図がある。
P2P研究会は2008年9月に第一次の活動を終えたが、この間に検討された項目は次の5つである。
また印刷会社におけるEDIのメリットとその可能性を探るために情報化投資に積極的な卸商1社と印刷会社4社に対しヒヤリング調査を実施した。ヒヤリングでは、多くの印刷会社にとって用紙調達EDIのニーズは顕在化していない、もしくは優先順位が低いという結果が出た。
しかし、紙と印刷とは切っても切れない関係にあり、事務作業の効率化と迅速化という一般的なEDIのメリット以外にも派生情報をうまく活用することによって得られるメリットは大きいと思われる。例えば、生産計画の効率化や用紙の納品予定情報を印刷現場と共有することで、よりタイムリーでフレキシブルな対応ができるといったことが考えられる。
次ステップとして、標準EDIの具体的なメリットを示すモデルケースとして実証実験の準備を進めている。参加メンバーは、株式会社ディグ(印刷会社)、株式会社シオザワ(卸商)、株式会社ジェーピー情報センター(システムベンダー)となっている。
EDIの実現に向けては、
などクリアすべき課題も多いが、単なるデータ交換の検証にとどまらず、実務に即したスタイルで実施する予定である。
なお、PAGE2009コンファレンスにおいてもP2P研究会の活動内容と実証実験について紹介するセッションを設けている。
用紙EDIの実現に向けた活動をより多くの方に知っていただくために本セッションの参加費は無料(事前申込制)となっている。
●PAGE2009コンファレンスE6セッション「標準EDIを利用した用紙調達に向けて」
※定員80名ですのでお申し込みはお早めにお願いします。
【参考記事】・紙パルプ業界のEDIの状況