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米調査機関ピュー・リサーチ・センターによる調査発表によると、米国で過去一年間に電子書籍を読んだことのある人の割合は二割を超えたということである(18歳以上人口における割合)。
電子書籍の普及加速、「大きな文化の変化」=米調査
昨年のホリデーシーズンでKindle Fireが売れに売れて電子書籍閲覧環境に弾みがついたというニュースはご記憶の方も多いだろう。そのことも関連している。日本での本格参入の時期は色々と取沙汰されているが、米国では確実に読書という文化が電子へと移行していることがわかる。
日本では電子書籍端末よりもスマートフォン普及が先行し、昨年の急拡大でいまは普及率が二割を超えているところまで来た。日本の場合はPCによる閲覧、スマートフォンによる閲覧、などの環境とサービスをどのようにデザインしていくかが課題となるだろう。
スマートフォン時代の電子書籍の作り方・売り方という点では、先行した成功例がアドベンチャー社である。
↓参考
まつもとあつしの電子書籍最前線Part5(前編)電子出版をゲリラ戦で勝ち抜くアドベンチャー社
実際に西川氏にお会いして感じたことは、鍵となるのは徹底的なスピード感や、ユーザニーズにあわせたチューニングパワーであるということだ。
毎日電子書籍アプリをリリースし、販売価格の上げ下げやタイトル変更など売り方のPDCAをまわすこと、制作原価をいかに落とすかなどなど…
電子書籍のビジネスが、単なる書籍の電子化では難しいということはこれまでの歴史で誰もが肌感で理解していることだと思うが、それではデジタルオンリーでどのような可能性があるのか?または単なる電子化ではなく付加価値をどのようにメリットとして見せていくか、などが課題となっている。西川氏も「スピードが非常に速い業界であり、半年先でも状況が読めないことがある」ということだった。アプリ形式がリジェクトされる傾向でストア形式も検討が必要になるなど、プラットフォーム側の意向により戦略を変更しなければいけないという特殊な業界でもある。繰り返しになるが、単なる電子化というのは手段にすぎず、ユーザが受け入れるサービスをどのように提供できるか、その視座を養う必要がある。
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ソーシャルプラットフォームの構築と、アプリ販売ヒットの裏側
(JAGAT 研究調査部 木下智之 )