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【5分間セミナー】印刷産業のうごきを動画でわかりやすく紹介します。
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本日は、2009年度の印刷産業の景況見通しについてお話させていただきます、
2008年度の印刷業界は、年初は順調でしたが秋以降の大不況の影響を受け、印刷産業全体の出荷額は7兆円を割り込み、6.9兆円、前年比2%強のマイナス成長に終わったと思われます。
リーマンショックに始まる大不況は、2009年いっぱいは続くと見られていますが、印刷業界の見通しはどうでしょうか?
1990年以降、2007年までの17年間に3回の景気後退局面がありました。第一回目は「バブルの崩壊」、二回目は1998年の「デフレ経済への突入時」、そして2001年の「ITバブル崩壊」です。
ここに示している図は、印刷産業の出荷額とその名目GDPに対する比率の推移です。1992年以降、一時期の横ばいを除いて対GDP比率は下がり続けています。その中で、先に触れた3回の景気後退局面での対GDP比率の変化を見ると、3回とも0.07~0.09ポイント低下しています。例えば、バブル崩壊直後の1992年における印刷産業出荷額の対GDP比率は1.83%で、前年の1.91%から0.08ポイント低下しました。ちなみに、対GDP比率の0.01ポイントの変化は、印刷産業出荷額にして約500億円に相当します。
2009年度の印刷業界の景況に影響する要因としては、GDP成長率以外にいくつかあります。ひとつは、インターネットやケータイといったデジタルメディアの普及によるマイナス影響が考えられます。この影響は、対GDP比率で見ると0.01ポイント程度、ということが、この2年ほどの実態から推定できます。一方、プラス要因は、衆議院選挙と定額給付金に関わる特需です。
以上に示した各種要因を総合して2009年の印刷産業の景況を予測することが可能ですが、最大の寄与要因はGDPの成長率です。
2009年度の日本の実質GDP成長率予測値が、日本政府、民間シンクタンク、あるいはIMFといった国際機関から出されていますが、最も楽観的な推計値は日本銀行が1月末に出した2%減です。以降、発表された数字として、民間シンクタンクの予測平均値4.3%減、IMFの5.8%減があります。3月末のテレビ番組で与謝野大臣が述べた数字は6%減でした。日銀の予測が出されて以降、傾向としては日が経つしたがって、予測はきびしいものになってきています。
これらのGDP予測と、選挙や定額給付金特需のプラス、逆に、デジタルメディアのマイナス影響を加味して推計してみると、2009年度の名目GDP成長率がマイナス2%であれば、印刷産業の出荷額は5.0%減、名目GDP成長率がマイナス6%であれば、印刷産業の出荷額は8.9%減となると推計されました。図には、中間点として名目GDP成長率がマイナス4%の場合の印刷産業出荷額推計値を示しておきました。結果は6兆5千億円をも割り込む厳しい数字になっています。ちなみに、過去最大の印刷産業出荷額の落ち込みは、1999年の6.6%減でした。
今日お話したことを含めて、主要印刷物市場の動向について、4月15日発行の「JAGAT info 2009年4月号」で紹介しておりますので是非ご覧下さい。