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世の中にそれまで何となく存在していた人々に対して、「コギャル」と命名した誰かがいた。
暗黙知の言語化という考え方がある。
それまで何となく、そういう人々がいた。そういう行動があった。でもそれを形容する言葉はなかった。しかし、あるときから突然ぴったり来る言葉が生まれ、一般化した。
「草食系男子」「山ガール」「歴女」「女子会」「アラフォー」などである。まだまだたくさんの言葉が生まれているだろう。何となく元気のない、ガツガツしてない、男の子たちがいて、でもそれをうまく言い表す言葉もなかった。そもそも言い表す欲求が誰からも起こっていなかった。しかし潜在的に、まわりにそういう人種が増えていることは認識していた。
あるとき、そういった人々を「草食系男子」と言い表した瞬間、誰もが「そうそう、そういう人は周りにいる!」とピッタリはまる。そして一気にそういう人々が「草食系男子」と呼ばれることになる。
こういった言葉の発明は、さらに行動を加速する役割も果たす。「女子会」という言葉が生まれた瞬間、さらに女子会を開きやすくなるといった具合に。それまでは迷いがあった(かもしれない)行動に、裏付けができる。背中を押された感じになる。「女子会する」という行動に後ろめたい感覚がなくなる。消費を後押しする。
こういった言語化は、傾向としては女性誌から発祥していることが多い。編集や広告といった仕事に携わる人々によって発見されてきた。文字通り「発見」であり、誰もが気づかないところに価値を見出したり、あらためて情報整理をして言葉を類型化したということである。
こういったアイデア発想法は、何も広告系だけでなく仕事をしている人すべてに共通して必要とされることである。限られた人にしか与えられた能力というわけではない。
どのように日頃、アイデアを発想する準備ができているかということである。
そして、併せて心がけることは、日常で触れているメディアにどう接触しているかということである。テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、インターネット、モバイルなどから届く情報に対して、どのようにインプットアウトプットできているか。鵜呑みにしないで、自分なりに整理できているか。それにより、日々の仕事にもクロスして活用が可能になるかもしれない。