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谷口写真事務所
代表 谷口 とものり 氏
谷口氏:従来のパノラマは横360度だったが、現在はそれプラス上下が180度、要するに真下から真上まで、これで全部360度VRということになる。
これ自体は10年以上前から、MacintoshのQuickTimeで同じようなものはあった。ところが、その当時のQuickTimeは、スピードが遅いし画質が粗い。なおかつMacintoshであることが一番ネックだった。ところが、2006年終わり頃からFlashでこれが動くようになった。
ぐるっと360度回って、上も見えて、下も見える。解像度は元を撮ったものによるが、大きな画面で見るとかなり細かいところまで見ることができる。いくらでも細かくすることはできる。
Flashになってそれなりに普及はしたが、当初は雑誌も少なかったし、すごいと思うわりには、思っていたほど普及しなかった。
私が「ちょっと変わったな」と思ったのは、2011年の3月の震災あたりからである。iPadが2010年の5月に出たので、もう動くことは動いたが、ソフトの進歩があって、バーチャルツアーなどができるようになった。
バーチャルツアーとは、FlashとHTMLファイルと両方入ってて、ファイルは自動的にパソコンで見るとFlashに行って、iPadで見ると自動的にHTMLとなっている。音も出る。リンクも貼れる。住宅業界などでずっと使われていたものだが、こういうことがiPadでできるようになった。
最初iPadがどこまで使えるかは私も疑問だったが、その頃から引き合いが多くなってきた。営業ツールとして、「お客さんのところにこれを持っていって見せたい」という話が非常に多かった。
iPadで引き合いが多くなってくると同時に、パソコン用でも、普通のWebサイトでも使いたいということ
が増えてきた。iPadの話になると、これと親戚のオブジェクトVRというのもあって、パラパラマンガがiPadで見せられる。こういうことができるようになったのは、ソフトにもよるが、2011年に入ってからである。当然、これも寄ったり引いたりできる。
パノラマで言うとモーションVRというのもある。例えばミラーを使ってブロギーのように上と下に見えないところが出てくるようなものがある。Googleのストリートビューの車などはそうで、結構ニーズがあり、これもiPadでも、動きはイマイチではあるが、まあまあできる。
もう1つは、最近私の中で流行ったシネマグラフである。スチール写真のように見せて一部分だけ動かすという、これも昔からある手だが、電子書籍になったときに、スチールで動かない写真などはもうあり得ないと思っている。パノラマであったり、オブジェクトVRであったり、シネマグラフであったり、スチールとして見せながら実はちょっと動く。
なおかつ、スチール写真でも、一番簡単なのは3枚か4枚を組み合わせてどんどん変わっていくスチール写真を、紙ではできないという意味で簡単に使うこともできる。同じことをiPadで見てもらう。もう1つ大事なのが、今までローカルに保存することに非常に限度があった。iPadはローカル保存がほとんどできなかったが、パノラマもオブジェクトVRも、いろいろなものが随分ローカル保存できるようになってきた。
そのローカル保存の最初の頃にやったのが、電子書籍である。ローカルに200メガぐらいのデータが入っていて、例えば「ビートル」と入れると、模型だが、50キロぐらいで、ぐるぐる回る。色も変わる。
ムービーも入る。こういうことがあって、私はどんどん電子書籍のほうにはまっていった。
パノラマをローカルで見るためには、2つ方法がある。例えばアイパルという150円か200円ぐらいのソフトを使うと、私の撮ったパノラマがずっと入っている。これはジャイロに対応しているので、下にやると下が映る。ジャイロを切ることも当然できる。天井を見ると、天井も見える。
お客さんの前で見せると、まだ結構びっくりされる。例えば私は秋葉原のラジオセンターも撮っているが、これも同じことで手で回せる。
もう1つのやり方はドキュメントプロという、250円のアプリである。同じようにジャイロもできて、音も付けている。これもローカルで動いている。
これをオブジェクトVRで撮ると、当然回る。オブジェクトVRもローカルで動いている。指を今度は縦に動かす。実は縦の感度が高くて途中で変わってしまうかもしれないが、すべての色が、縦に指を動かすと色が変わる。なおかつ横でぐるぐる回る。
横で車種を全部変えることも、できないことはない。CGではできないこともたくさんある。そういうときには「こうやって撮ってください」というような引き合いも多い。
郡司:今だとiPadだと思うが、iPad用に販売ツールがあるので、印刷物と一緒にそういうものを受注していくと、印刷業としては結構メリットがあると思う。まだまだジャイロは、お客さんに渡すと、自由自在にマウスを動かして見る。ジャイロはiPad2からなのか。
谷口氏:ジャイロはあるが、iPad2から横のジャイロが付いた。上下は前からある。iPhoneは4からは上下左右、全部ジャイロが入っている。
もっと言うと、例えば車の撮影などをするときは、車の中にカメラを入れて自動的に撮影するようにしている。前は手でやっていたが、手で動かすたびに車の中に入らなくてはいけないので動いてしまう。
動くと非常に精度が悪くなるので、自動的に動かすようにしているが、自動的にどんどん勝手に撮って、撮ったものをアイファイでiPadに飛ばす。アイファイというソフトで確認しながら、勝手にカメラが動いて、ちゃんと撮れたかどうかを知らせてくれる。したがって、撮影のときにもiPadで確認しながら、特に車の撮影などでは非常に重要になっている。
谷口氏:パノラマ写真をスマートフォンで見られるのかだが、Androidでも基本的にFlashが見られるので、Flashに関しては、そう問題はない。それに比べて今のこういうソフトはAndroid用のデータも一緒に吐き出してくれる。Flashのパソコン用の大きなサイズのデータと、iPad用の少し小さめのサイズ、iPhone用の一番小さなサイズ、それからAndroid用には別に、使っているデータは同じで読み込みが違うだけだが、同じものを使っている。
ただ、電子書籍の話になってくると、Androidでどこまでできるか。今の電子書籍のようなものはそれ用に作っているが、パノラマやオブジェクトVRに関して言うと問題なく見られる。
郡司:Androidでも、両端を切ったり、サイズをフルに使わないなら、そこそこできる。実技を見てもらうとよくわかる。そういうソフトがあって、そこから何枚かのパノラマ写真を合成してHTML5やFlashで書き出すことで、書き出すときにiPhone用のFlash、そういうHTML5のサイズで書き出すなど、ソフトによって決まっている。
最初はソフトがなくて、自分でHTML5に変換するのを苦労されていたようだが、そのうちに定番のソフトがHTML5をサポートするようになって、現在は結構簡単になったようだ。
谷口氏:人間が入り動かれると後でつなぐのが結構面倒なので、JAGATのこの部屋では、郡司さんのほうから行く。今日は使わないが、真下も撮っておく。
平らなところなら、後でつなぐのは簡単である。机の上みたいなものの端で撮ると後が難しかったりするので、今日はこれを選んだ。平面なら、このぐらいで撮っておけば、今三脚があったところをごまかせばいい。スタンプでごまかす人もいるし、下に丸いものを貼って、バッジを作って、例えば会社名とか、そういうものでやる方もいる。
三脚をわざと細くしていた。これは、なるべく底の面積を小さくするために立てていた。広げると安定するが、後で消すところが多くなってしまうからだ。キヤノンの魚眼レンズの8ミリから15ミリを使い、なおかつ12.5ミリぐらいにしている。今ここでどんな絵柄になっているかを見ることができる。
今日はJPEGでやる。横が360度ある。真下は、今は使わない。これはPTGuiProというアプリケーションだが、これが何しろ一番である。そんなに高くはない。プロで2~3万くらいだと思う。
もう1つ、FlashやHTMLにするソフトがあるが、それも今円高で安い。これに今放り込んだ。アドバンスというのがあるのがプロで、アドバンスというのは幾つか使い勝手がある。
ロードイメージをした。縦になって、レクタンギュラーとなっているが、これはフラットのパノラマのことなので、一番基本になるのはエクレクタンギュラーといって、横が360度。この状態にして、レンズがレクタンギュラーだが、レンズがノーマルじゃなくて、フルフレームにしておいて、例えばアラインイメージをすると、このソフトが勝手に同じ位置を探している。
横4枚で360度、それと天井も入れている。この状態でやることは、一応、縦のイメージを全部、水平をい適当に出しているが、適当でいい。縦のイメージだけを、バーチカルラインをここで決める。ここと同じ画像を出しておいて、それを決めてやる。これは全部やる必要はない。
左右の画像の同じようなところを探す。これで、今度はオプチマイザというので、さっきのアラインと同じ。ここにベリーグッドと出た。これが出れば、ほとんど合っている。どのくらい合っているか、合っていないかはコントロールポイントテーブルを見ると、1.9ピクセルが一番合っていないところである。これは多分このままOKを出すとほぼ間違いない。
今何もしない状態で、例えばクリエートパノラマする。8,328というのはJPEGの小さめのサイズなので、この状態でやると、フルサイズで、長辺が11,500ピクセルくらいになるはずである。Photoshopで、今は便宜的にJPEGで出力するが、あとレイヤをいろいろ重ねて、後で修正ができるようになるが、これでクリエートパノラマをする。
こんなに早く撮って、ベリーグッドが出る。一番合っていないところが1.9というのは非常に精度が高い。なぜかというと、ノンパララクスポイントともノーダルポイントともいうが、それが合っているからである。カメラのレンズによって全部違うが、大体前のほうの位置が多い。
それが合っていると、例えば撮った端と端の絵柄がほとんど同じになる。ただ、特に魚眼レンズの場合は、そのノンパララクスポイントが移動する。これが一番厄介で、例えば車の中のような狭いところで撮るときには、それ用のノンパララクスポイントを自分で見つけなければいけない。その見つけ方を説明する。
車の中や秋葉原の中で撮るとすごくずれるが、JAGATのセミナー室で地面もしっかりしていて広いところだと、もう技術は何も要らないぐらいに、ノンパララクスポイントが合っているとできる。
出てきた画像を一応セーブするが、この中にパノラマJPEGとある。この画像がエクレクタンギュラーという画像である。左右が360度分、上下が180度分。必ず1:2になる。これがパノラマを作る上でのベースになる。
パノラマというのは、1面、2面、3面、4面と上と下、この6面のキューブフェイスをパソコンで見るようになっている。それが基本だが、これからキューブフェイスを作ることもできるし、キューブフェイスからこれを作ることもできる。
このときに使うソフトが、今日は便宜的にPano2VRを使う。これは非常に手軽である。幾つもあるソフトの中で、これは簡単にいろいろなことができる。出力フォーマットととあるが、QuickTimeは今ほとんど関係ないので、FlashかHTML5を選ぶ。
両方作るときにはまた違うやり方があるが、今例えばFlashで作るとする。「変更」で、最初にどこからスタートするか。画面のスタート位置を、決めて、画角を、例えば初期値を郡司さんから始めるとして、数字が表れるのは上下の角度なので0にしておく。最初、郡司さんからもっとぐーっと寄っておこうと、例えば郡司さんの全身から行って、30ぐらいでOKとする。ホットスポットとあるが、ホットスポットは、バーチャルツアーや、クリックするとリンクを張って違うところに行ったりするとき、例えばここに点と領域というのがある。
郡司さんにホットスポットを作り、郡司さんのURLを入れたとする。後からでも入れられる。これでOKにして、Flashにする。
立方体サイズというのは、今のエクレクタンギュラーの画像から導かれた1個のキューブ、6面のうち、1つのキューブの、一辺のサイズのことである。自動的に一番大きなものが選ばれるが、もっと小さなサイズでいいなら、これで変えることができる。
それから、JPEGの画質やウィンドーのサイズをどの程度にするか、自動回転は最初にぐるぐる回るかどうするか。こちらが右回転、マイナスで左回転になったりする。この場合は0.1で、0.1だとそこそこのスピードだが、0.05ということも、ここで打てばできる。
ディレイは、スタートして何秒後に回り始めるかである。スキンは下のボタンをどうするかである。
スキンも全部変えることができる。ビジュアルは、これでいいだろう。トランジションとは、次のパノラマに行ったりできる。どういうリゾルで行くのか、リゾルを何秒ぐらいにするか、ぱっと変わるのかクロスのように変わるのか、これはどういう字の出し方にするか。これは反応速度である。
それから、サイトに上げるときにはドメインロックが必要になることもある。今回はしないが、マルチレゾリューションは小さく分割してWebサイトで見やすくする。HTML5を作成し、フルスクリーンGDTをやっておくと、フルスクリーンのボタンを押したときにフルスクリーンになるようになる。
OKして作ってしまう。フルスクリーンのボタンがあって、押してもフルスクリーンにしないこともできるし、することもできる。
郡司:先ほどのiPad用というのは。
谷口氏:時間があればやるが、これはFlashの出し方でやった。
郡司:もう1つのソフトは。
谷口氏:もう1つはKRPanoである。
HTML5の前に、一番大事なノーダルポイントをどうやればいいかだが、いろいろなやり方がある。最終的には実践だが、私はカメラがあって、黒い点がある。その間に丸い5円玉のようなものを置く。
それで撮ると、向こう側の黒い点が真ん中に映っている。合わせ方はいろいろあるが、どうやって撮っても真ん中は合う。今度は右に回したときも、左に回したときも、真ん中に入っている。反対側に回したときにも、真ん中に入っている。
これがずれるとどうなるかというと、真ん中は合っているが、反対側はずれていたりする。後でつなぐときに、ソフトがつじつまを合わせようとするが、どこかが破綻していくのでなかなかつながらない。反対側も当然同じように合わない。
ただ、ノーダルポイントというかノンパララクスポイントの域は変わるので、ズームの焦点距離にもよるし、部屋の大きさや、どこでつなぐかが非常に大事である。角度は、今は4つに分けて撮っているが、6つで分けて撮るときはつなぎ目位置が狭いところで使うので、端と端で合わせておいても途中でまた合わないところが出てきたりすることがよくある。
一番いいのは実践で、同じようなところでまずやって、実際につないでみてもらう。先ほどのベリーグッドのコントロールポイントが大体5ポイント以下にならないと、なかなか難しい。
HTML5の話をする。FlashのところにHTML5がある。
郡司:Pano2では何と何が出せるのか。HTML5とFlashと。
谷口氏:QuickTimeと等変換。等変換というのは、同じエクレクタンギュラーの画像から、例えばよくある鏡面体とか。リトルプラネットのようなものを作ったりできる。
キューブが6つ入ったものであるが、キューブを作ったりするときにバラでも出せるし、1個1個もできるし、いろいろなことがバラでできる。サイズを変えたりもできる。
実はKRPanoを使う人が、今は非常に多い。しかし、非常に面倒である。XMLやHTMLを自分で打たなければいけない。ただ、今なぜ使われるかというと、KRPanoを買うと、ドロップレットが付いている。このエクレクタンギュラーをそのままぽんと放り込むだけでターミナルが動き始めて、自動的なのでやることはこの状態では限りがあるが、HTML5とFlashと、全部まとめて作ってくれる。
なおかつ、ツアーも、それは違うドロップレットだが、例えば3つとか4つのパノラマをぼんと入れるとツアーを作ってくれる。ただ、そのツアーを、例えばボタンの位置を変えたいとか写真のアイコンをどうかしたいという話になると、それはもうXMLの知識がないとできない。
先ほどのPano2VRと同じことをKRPanoというソフトが行ったもので、ボタンが違うが、KRPanoのデフォルトが入っているだけである。
郡司:品質はどちらのほうがいいのか。
谷口氏:KRのほうが幾分いい。
郡司:両方ともアメリカか。
谷口氏:KRはドイツである。Pano2はフランスだったと思う。
KRのほうで作ったもののほうが性能はいい。ただ、今申し上げたように、なかなか大変である。
郡司:値段で言うと、PTGuiが2万円切るくらいだが、Pano2は。
谷口氏:Pano2は安い。1万円ぐらい。KRPanoは2万円くらいかもしれない。
郡司:なぜ値段に拘ったかというと、印刷業界の方は今まで高いソフトをたくさん買っている。Adobeになっても、Adobeで結構高いものを買っていると思う。ところが、これくらいの値段のものを買っても結構ビジネスができるという話である。
少しそのときに苦労というか、ノウハウが必要だが。
谷口氏:以前はすべて英語だった。今でもサポートは英語である。以前は日本にそういう本もなかったが、最近随分日本語で書いている人が増えてきたので、かなり日本語でできる。特に英語ができる人なら、向こうのフォーラムに行くと膨大な資料があり、フォーラムを見ると大概のことは解決できる。
郡司:日本の今のカメラマンやフォトグラファーも仕事で結構苦労しているが、ヨーロッパでもそうである。その中にあってこういう需要が生まれていろいろやられているという背景があるのだろう。
谷口氏:そうである。ヨーロッパのほうがアメリカなどより進んでいる。
郡司:ヨーロッパもいろいろな国によって、例えばスイスだとギルド制みたいなものがあって、写真家の称号を得るだけで大変である。その地域に何人くらいと決められているようだ。
谷口氏:ユーロだから、今買い時である。PTguiProは、この中では一番なくてはならないものだと思う。あとFlashの展開するソフトは、何を選ぶかは好きずきだが、結局は、お客さんからいろいろな要望出てくるので、幾つか複数買わなくてはいけないことになる。
郡司:今のところHTML5への変換はできるようになったので、もう少し品質や早さが改良される可能性はあるのだろう。
谷口氏:これでも十分である。例えば今撮影して底を作ったとしても、底面を撮影してあるので、それをくっつけて納品するようなものでも、ノーダルポイントさえ合っていれば1時間くらいで完璧なものができる。しかも、非常にパノラマは簡単である。
これはノーダルニンジャ4というパノラマの機材だが、これは比較的新しいもので、この下にノーダルニンジャ3というのがある。両方とも宮崎のよしみカメラが輸入している。ただ、直接アメリカから買えば安い。円も高いし、私はアメリカから買ったが、送料込みで2万7,000円くらいだったと思う。
郡司:印刷業界の方はそういうのは不得手だと思うが、写真家の人は、世界中の写真家がポータルで普通に印刷を頼むときはアスカネットに頼んでいる。スイスなどのカメラマンが頼んでいるのはアスカネットである。それと同じように、日本のカメラマンがアメリカのどこに頼むのかがわかるサイトが結構ある。
谷口氏:昔は決済をどうするかという問題があったが、ヨーロッパは昔から決済がなかなかできなくて、現金を書留で送って取り寄せたこともあった。アメリカは平気だったが。今は全部ペイパルも使えるし、カードも使える。
郡司:プログラムはペイパルがデフォルトのようになっている。
質問:レンズが12.5ミリぐらいがちょうどいい?
谷口氏:それは、これがフルサイズの5Dだということが1つ、それと、私は横を4つで撮りたいが、6つで撮ったり7つで撮ったり、このぐらいの角度にして撮って、何段にも分けて撮る人もいる。魚眼でなくても、焦点距離は35ミリの普通のレンズで撮ることもできる。そうすると高解像度のものができるし、魚眼レンズよりつなぎ目もいい。
ところが、たくさん撮らなくてはいけない。そういうときはモーターで自動撮影できるようにしておけばいい。手で撮るときは、1つ撮り忘れたり、途中でわからなくなったりすることもある。
私は、画像サイズは、長辺は11,000や13,000ぐらいがいいと思っている。しかも、人間を撮るときはなるべくショット数を減らしたい。これをもし8ミリで撮ると、多分2枚でもつながる。こっちと180度撮って、それでつながる。解像度は落ちるが、iPhoneなら十分だし、iPadでも十分だと思う。2枚はこの辺の周辺がちょっと問題あるというなら、横3枚撮れば大体つながる。
郡司:今はズームを使っているが、これは高いレンズだが、もう少し安くて単焦点というのと、どちらがいいのか。
谷口氏:安くはないが、ニコンの10.5はいいそうだ。このレンズはとても良くて、トキナの10から17のフィッシュアイズームをずっと車では使っていた。ただ、それはATSC用なので、フードを削ってフルサイズ使えるようにした。センターはこれと同じである。ただ、ATSC用なので、ちょっと周辺は甘い。
レンズは、品質という点で言うと、やはりいいものを使ったほうがいいと思う。
郡司:魚眼はあまりわからないが、トキナがいいのか。
谷口氏:トキナはペンタックスと同じような設計で、商材も同じなので、比較的いい。値段は45,000円くらいで買える。ニコンは100万くらいするが。
ズームの必要はなかったが、ATSCのときにはこれを10ミリにして、車の場合はATSCで撮っているので、10ミリで自動撮影する。あと、フルサイズは大体これで撮ることが多い。万が一もっと粗くていい、もっと高解像度で撮ってほしいというオファーが来たら、それで変えればいいと思う。
郡司:今日は実技をやっていただいたが、私が思っていたよりはるかに楽に撮っている感じで驚いた。これなら自分でやってもいいかなと思うくらいだ。
谷口氏:できると思う。住宅関係だとWebを制作しているような人たちが撮ったりすることもある。Googleもそうだろう。しかし、やっぱりカメラマンが撮る品質は少し違うような気がする。
郡司:先日、汐留の42階のレストランに行ったが、そこの夜景が結構良かった。そういうところなら、360度ビューとか絶対欲しいだろう。
谷口氏:先ほどのPTguiにはHDRの機能も付いている。段階露光をこれにしておいて、段階露光した分も全部まとめて放り込むと、デフォルトでは勝手に中と外を360度撮るときにはうまく外も出して中もということもしてくれる。
郡司:こういうことをやっているから、今、谷口さんのところにはいろいろなところから仕事が舞い込んでいるらしい。本当にそういうのは大きいと思う。
カメラマンはこういう話をたくさん知っていると思うが、印刷業界の人はわからない。Adobeが言っていることだけで一生懸命お金を払ったりしているが、2万円を切り、1万円ちょっとでいろいろなソフトがたくさんある。
TG研究会ではなるべく皆さんに情報を流そうと思う。メーカーの言われるままに買っているとしんどいので、自分で自立していろいろなことを調べていくというのは大事なことだと思う。
2011年12月1日TG研究会「360度パノラマ写真とCG新ビジネス」より(文責編集)