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ITビジネスの浮き沈みの早さは今さら説明するものではないが、Twitterに始まってfacebookで落ち着いたかに見えたが、そのfacebookを尻目にいま勢いづいているのがLINEである。
■私事であるが、実は先日誕生日を迎えた。いつもなら親しい友人から電話を貰ったりメールを受けたりするだけだったのだが、facebookのおかげ(?)で多くの方から誕生日おめでとうの連絡を受け、一々反応しなくてはいけなくなり、正直参ってしまったのである。
些細なことだが、こんな事まで一般庶民の生活まで変えてしまうSNSなのだが、このSNSを情報収集の場として、発信の場、質問の場として利用している人は多く、探し人の捜索だったら私立探偵に頼むより効果があるだろう。そして現在勢いのあるのがLINEで、本家本元のfacebookの株価が低迷しているのを横目に、ビジネス的にも上手くいっているようだ。
■facebookにとてつもない力があることは分かっていても、どう金儲けをするのか?理解できていない人は少なくないはずだ。分かりやすく言えば、facebookの株価の低迷もここに尽きるということだろう。その点極東発のLINE(韓国と日本のメンタリティが詰まっている)は、オンラインゲームのようにただ勝つためのために少しでも高い武器を有料で購入し、それが罪悪というより楽しみとなり、結果的にオンラインゲームの主たる収入となっているのはご存じのことと思う。
LINE(申し遅れたが、Lにアクセントを置かず、ドラマのように若者言葉的ノーアクセントで発音するのが正しい)もかわいいキャラクターのスタンプを販売したりしているのだが、テキストチャットでこのスタンプを多用するようになるとハマってしまい、結構チャリンチャリンビジネスになっているらしい。
■LINEとは、違うキャリア同士でも、無料で音声通話やメッセージのやりとりができるコミュニケーションアプリであり、それを運営する会社もLINEである(改名により)。
2013年1月にはスタート約19カ月で1億人を突破した(facebookは54ヶ月、Twitterは49ヶ月でユーザー数1億人突破を達成)ことが驚異的と見られているようである。その後もユーザーは増え続け、2013年4月には世界230以上の国や地域の登録ユーザー数が約1億5,000万人強、国内ユーザー数が約4,000万人以上に達している。
■機能としては、 LINEユーザー同士での無料音声通話やテキストチャット、さらに絵文字やスタンプを送信できるほか、最近ではゲームやマンガなども追加され急速に進歩している(現在進行形)。facebookなどと比べると多分に日本的で、世界的にも日本のアニメ好きには馴染めるメンタリティ(センス)になっている。
■LINEは企業向け「LINE公式アカウント」を2012年6月に運用を開始した。友だち追加したユーザーに対して、直接メッセージを配信できる。初期費用200万円、月額150万円から使用可能で、スポンサードスタンプは1,000万円となる。このような商用サービスが浸透するに従ってクーポンやその他サービスが急速に充実され出している。
2012年10月5日「公式アカウント」に、首相官邸のアカウントを追加したと発表。LINE IDは「#kantei」である。首相官邸のニュース、政策情報などを発信するほか、大規模災害発生時は、災害関連情報も発信する。運営は内閣広報室である。
このように公式な情報もこのようにLINEから流れるようになると、無視も出来ないし印刷業界をはじめとした従来のマス媒体側もLINE等のSNS運用方法を真剣に考えなくてはならなくなっている。
■そして廉価版として、店舗や施設向けビジネスアカウント LINE@(ラインアット)が2012年12月に提供を開始した。アカウントを「友だち追加」したユーザーに、メッセージやクーポン、セール情報などを直接配信するできるサービスで、初期費用5,250円、月額5,250円だ。店舗や団体から直接、LINEを通してお客さんへトークでメッセージや画像、さらにクーポンやセール情報などを届けることが可能となる。
LINEではプッシュ通知で情報が届くので、チラシやメルマガなどと比べて、内容をきちんと見てもらえる確率が高く、また実際に店舗へ足を運ぶなどのアクションに繋がりやすくなるといわれている。いわゆるO2O(オンラインtoオフライン)ということで、印刷業が目指すクロスメディアビジネスには必須知識である。
2013年6月26日のCM研究会では「クロスメディア時代の販促手法」 と題して、LINE@について、そして東急ハンズからSNSを使った販促事例について語っていただく。SNSを使った新しいセールスプロモーションについて考えてみたい。
(JAGAT 研究調査部 部長 郡司秀明)