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Webの大進化と小進化

掲載日: 2009年07月20日

今は凝った機能を提供するとネットとPCの負荷が大きいが、クラウドに備えてサイトの構成と、提供の機能を切り分けて、機能面の試行ができる体制が必要。

生物の進化が理にかなっているのかどうかは謎のところが多いが、適者が有利になる小進化はわかりやすい。Webの制作もユーザビリティの向上の努力は小進化のようなものだが、それだけを積み重ねていればよいのではなく、ちょっと違う視点で大進化というのも想定しなければならない時がある。最近ではマッシュアップがそれにあたり、地図などはサイト内で工夫するより、GoogleMapなどのアリモノを如何に違和感なく配置させるかという方法論に変わってきた。

GoogleMapのような外部のWebサービスを組み込むことは、利用者にとってみるとサイトが異なっても同じ操作性なので、迷うことは減る。しかしこのようなサービスの組み込みばかりでは、どのサイトも差がなくなってしまうので、そのサイトの最大の特徴となるべきところは独自の工夫が必要になる。よく「ワンクリック」で成功した話があるが、特にECサイトは買物を仕掛けて途中で止めてしまう人を減らすために、またついで買い、発見買いなどで売上げを増やすために努力をしている。

例えばeBayはこの2年ほどで多くのajax的技術を導入し、毎月のようにサイトの使用感を向上させたり、オススメの出し方を変えるようなことをしている。これにより今までいくつもクリックして画面の遷移を待たされていたのが半分くらいになった。またオススメは高度に、しかもコンパクトになった。ページを変えないでその中だけ書き換えることができると、ページのスカスカ感が減って結構密度が濃い感じになった。また画像表示もインタラクティブに出来て、利用者の好みに合ったように表示させるツールの小進化が始まっている。

eBayのMyPageも進化して、自分用にものすごくカスタマイズできるようになった。まるで何かアプリケーションを操作しているかのようで、クラウドのような雰囲気を感じさせる。これはGoogleなども熱心に取り組んでいる次のクラウドへの大進化の予兆なのかもしれない。今のところ利用者に凝った機能を提供しようとすると、ネットとPCの負荷が大きくなりすぎるので、すぐに進むことはないだろうが、eBayのようにサイトの構成と提供の機能を切り分けて、機能面の試行を常時行えるようになることが、次の大進化への備えだろう。

(クロスメディア研究会会報 243号より)

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