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【印刷界 OUTLOOK2009】製造業の4位、4分の3が10人未満
経済産業省「平成19年工業統計表」の推計によれば、印刷・同関連業の事業所数は32,811で、製造業計(483,084)の6.8%を占める。産業中分類24業種では、最多の金属製品製造業(65,038)、一般機械器具製造業(61,598)、食料品製造業(49,206)より少ないが、衣服・その他繊維製品製造業(29,406)よりは多く、上位4番目となっている。
算出事業所数上位30品目(2007年、従業者4人以上の事業所)では、1位は平版印刷物(オフセット印刷物)の9,278事業所で、2位のその他の製缶板金製品(4,984)、3位のその他の製造食料品(3,762)を圧倒的に引き離して最も多い。
他業種と比べてみると、印刷・同関連業の事業所数はドラッグストア店舗数(15,625、日本チェーンドラッグストア協会調べ)の倍以上で、コンビニエンスストア(43,228、日本フランチャイズチェーン協会調べ)より1万少ない程度である。
印刷・同関連業の事業所数は1988年の47,500を頂点に緩やかに減り続けてきたが、近年は減少ペースがやや鈍化する傾向にあって、2006年と2007年の推計では2年連続で増えている。
印刷・同関連業は、印刷業、製版業、製本業、印刷物加工業、印刷関連サービス業により構成され、その事業所数は印刷業が25,807(構成比78.7%)を占め、製版業(同7.1%)、製本業(同6.9%)、印刷物加工業(同6.6%)、印刷関連サービス業(0.7%)となっている。とりわけ大きく減少してきたのは1988年に6,680あった製版業で、技術革新などの影響を受けたために2007年は2,343とピーク時の3分の1に減った。
このようにわが国産業において一定の地位を占める印刷産業だが、その過半数(51.0%)を構成するのは従業者3人以下の事業所である。4~9人が25.7%なので10人未満の事業所が産業の4分の3を占めるという多様性ある産業構造になっている。
これは繰り返し生産が少なく個別受注生産が多いという印刷製品設計の複雑さや、印刷製品の地産地消的な性質により、中小企業もそれなりの競争力を発揮できる余地があるという印刷製品の特性による部分が大きいと思われる。印刷会社の大型化が必ずしも大手企業の寡占化を意味しないところに印刷産業の魅力があると言ってよい。