JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

前年比20倍のTwitterユーザー数、脅威の伸び

掲載日: 2009年07月30日

Twitterは多くの人に支持されており、ネットでの動線を考えている人は考慮に入れないわけにはいかなくなった。

ツイッターは日本語では鳥の「さえずり」とか「おしゃべり」の意味で、ネット上での新しいコミュニケーション手段としてこの1年定着してきたアメリカの無料のサービス名である。2006年頃から始まったサービスだが、2009年に入ってから爆発的に使われだし、6月末で前年の20倍の2000万ユニークユーザ(月間)に達した。これがどのくらいの規模かといいうと、セカンドライフの20倍、TypePadの倍、USATODAY.comの倍、というように普通のマスメディアを凌ぐところまで来ている。

Twitterに勝るユーザー数のソーシャルメディアは、MySpaceが6000万人強、Facebookが9000万人弱という、やはり新興のサイトで、アメリカや西欧ではネットでのコミュニケーションのスタイルが近年大きく変わってしまったことを示している。つまりモノ書き的なものはBlogに、自己宣伝はMySpaceに、そして日本の若い人がケータイメールでやり取りしているような、短い他愛ない会話で、リアルタイム性があるものはパソコンのチャット(chat、英語で雑談の意)からTwitterに移り変わってきた。

Twitterがchatと違うのは、ユーザー登録をすると自分専用のページが作成され、そこに書き込むと、外の人からも見れるという点で、Blogと共通している。Blogでは、今誰が何を書いた、というのはわからないが、電子掲示板(BBS)、ネットニュース、メーリングリストなどは、情報の追加状況がリアルタイムにわかる。ただし、チャットや実況型掲示板は情報が増えると順次古いものは消えていくとか見え難くなる。

Twitterは個々の発言にユニークなURLが付与され残るので、それらにコメントするとかまとめて再処理することもできる。Twitterの使われ方は「What are you doing?(今、何をしてるの)」を140文字以内で投稿するもので、これは「つぶやき」と呼ばれている。"マイミク"のように、他のユーザーと友達になって、その人の発言を自分のページに表示させることができる。

これをリアルタイムに、かつ連鎖的に行うと、誰かが何かをしていることに対していろいろな発言が集まってきて、にぎやかな会話に発展する。一般にBlogなどで何かを書き込んでも、コメントが付かないと人が見ているのかどうかわからないが、Twitterでは書いたことに対する反応があることが面白いのであろう。

SNSが閉じたグループを前提としているのに対して、Twitterは見知らぬ誰とでも自由に気軽にコミュニケーションができるようにしたのが魅力である。しかし「つぶやき」といわれているように、主体的なコミュニケーションとか自分の主張をするようなところでもなく、例えばニュースやスポーツ実況に対する反応とか、天候の変化や気分の変化など、軽くゆるやかなコミュニケーションをするものである。人の会話の自然さをネット上にうまく採り入れたものであるともいえるだろう。

書き込みに対してランキングや検索、ケータイを含めアプリケーションやサービスが公開されていて、活用範囲は広い。3月にGoogleがエラーを起こしたことがあったが、一般ユーザは自分のパソコンとかネットに問題が発生したか不安になり、その時点ですぐにTwitterで情報交換して情報を得ることができた、というようなエピソードもあった。

人々の共通の話題に対して、波紋のようにコミュニケーションが広がっていく様をリアルタイムに体感できるという点で、ネットの情報サービスとしては新境地を開いたといえる。

Twitterの開発者はブログ・サービスの開発者でもあり、Twitterの基本構想である「どこで、何してるの」をいつでも共有できることは2000年に思いついたものを5年もあたためてサービス化したといわれている。

その半年後にはアメリカのblog関連の賞を受賞して注目を集め、投資家から資金調達ができた。今後のビジネス展開にはTwitterの検索の可能性がある。例えばWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝戦の最後を見逃して結果がわからない場合に、ニュースサイトのホームページには結果がすぐには載らないし、GoogleでもYoutubeでも検索しても出てこない。

たとえYoutubeにすぐに誰かが投稿したとしても、一般の検索エンジンはヒット数の多いページが先に出るので、過去の情報ばかりが先に出て探し難い。ところがリアルタイム性を第一にしているTwitterのようなメディアでは最新のニュースが最初に出るから、感激を共有できるメディアになるのである。Twitterが何を社会にもたらすのかの議論は今後いろいろ起こってくるであろう。いずれにせよすでに多くの人に支持されているので、ネットでの動線を考えている人は考慮に入れないわけにはいかないものになった。

関連イベント

「SNSがビジネスに与えるインパクト 」 大手運営3社に聞くサービス特徴と活用可能性
2009年08月07日(金) 14:00-17:00 

(C) Japan Association of Graphic Arts Technology