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特殊印刷、広色域印刷、等々特別に価値のある印刷はその名の通り価値のあるものに違いないが、特別でないものにも価値のあるものがある。印刷でいうと「標準印刷物」というのがそれに当たり、日本でいうとJapan Colorがその中心に位置づけされるものになる。
そもそも印刷業界では印刷物の品質保証が校正刷り中心にされてきたので、本来あるべき標準品質基準がおろそかにされてきた感があるのだが、一戸建ての家を建てる場合を例に挙げれば「モデルハウスで確認したから建築基準法に少々違反していても構わない」なんて事が絶対に成り立つわけはないのである。
北米では印刷物発注の場合でも必ず「SWOP基準で何部、GRACoL基準で何部」「ペナルティはΔEいくつ以上の場合賠償額いくら」というように明確に基準が決められているのが普通であり、長年の伝統に基づいた慣習も心情的には分かるが、欧米的な方法が常識的且つ論理的といわざるを得ない。
そのJapan Colorではあるが2001に関して色々言われたものだ。その一つ一つについては頷く点も少なくないが、日本でこういう機運が生まれてきたことに水をかけたくないし、何とか使えるようにしていきたいというのが、JAGATの立場であるし、筆者(郡司)としての正直な願いであったし現在もそう思っている。
幸いにしてJapan Color 2001は、紆余曲折の挙げ句ではあるが随分普及した。これまでの規格に比べたらダントツにオーソライズされたと言える。理由は色々考えられるだろうが、何といってもAdobeシステムズ社製のJapan Color 2001プロファイルの存在が大きかったのは間違いがない。要するにまともなプロファイルさえあれば、まともなプロファイルでまともなCMYKデータに分版さえ出来れば、あとは何とかしてしまうのが印刷業界?(これを言っちゃおしまいかもしれないが)なのである。RGB、CMYKワークフローの要はプロファイルなのだ。
CTP用に新たに作られたJapan Color 2007も色々言われているが、その一つ一つを整理していくと何とか解決できるものがほとんどだ。JAGATではかけ声だけかけていても始まらないので、具体的な運用を啓蒙していくつもりである。定期的に掘り下げてきたJapan Colorだが、8月20日「Japan Color 2007と印刷標準化の実践」には実践編に突入したい。
引き続き印刷インキの冗長性(濃度で全てではないが随分カバーできること)、今回実践編として三菱重工から印刷(機)の立場からJapan Colorを語っていただく。印刷機メーカー数あれど、科学的且つ論理的に印刷にアプローチしている会社の中でも最右翼の三菱重工さんだから聞き応えのある内容なのはお墨付きである。引き続き庄司氏からはJapan Colorのプロファイルについて語っていただくが、Adobeプロファイルが当面望めない中、日本製プロファイルの品質を高めていくのが、実はJapan Color 2007の品質を上げる最短距離だったりするのである。この辺では協力を惜しまない積もりである。
(文責:郡司秀明)
T&G研究会ミーティング
2009年08月20日(木) 13:30-16:30
「Japan Color 2007と印刷標準化の実践 」
印刷機側の立場から印刷標準化の検証、および印刷標準化とICCプロファイルについての掘り下げを行う