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企業の存続と成長のためには、有能な中核人材(右腕人材)の存在が必要不可欠となる。メディア関連業界における中核人材の育成については、コストや時間の問題から、企業が必ずしも力を入れているとは言い難い。
企業が存続・成長していくためには、戦略と組織が適切な関係を持たなければならないという考え方がある。1969年に出版された「Strategy & Structure」では、アルフレッド・D・チャンドラーJr.の執筆により、組織と戦略の関係を最初に明らかにし、1920年代のアメリカ大企業の軌跡を詳細に追い「組織は戦略に従う」との名言を残した。継続的発展を遂げなければならない企業にとって、「人・モノ・金・情報」は、経営において重要な諸資産とされ、組織をささえる「人」である人材に関する戦略は、経営戦略にとって必要不可欠なものである。
■中小規模の企業において必要とされる人材とは
一般的な中小規模の企業では、今後の環境の変化や事業展開を考えた場合、「中核的な人材」が不足していると言われている。「中核的な人材」とは、
1.右腕人材
経営の中枢で経営者を支える人材(いわゆる「右腕人材」)が企業には必要とさている。右腕人材とは、「経営管理全般に対する高度な能力をもち技術を理解し、精力的に活動する」という人材である。企業規模を拡大していく過程で、経営理念を理解し、それを経営者とともに社内外に伝えることができ、経営者の「分身」としての役割が期待されている。
2.技術動向を的確に把握できる人材
最新の技術動向を理解することで、どのような技術が今後有望であるかといった、新製品や新サービスの元を知ることが、企業の発展にとてって重要なこととなる。現代は、このような情報収集力を持つ人材を獲得・育成することが環境変化への適応能力の優劣を決めることに繋がる。
3.プロのセールスエンジニア
技術などの専門知識を含めた業界動向に習熟し、新市場を開拓できる商品を企画・提案できる能力や、自社の製品を顧客に売り込み、ビジネスとして展開させる高い営業力を持った人材は、成熟経済において特に重視される。
4.ITを使いこなせる人材
最新のITに通じている人材を新規学卒者から採用することが難しいと感じている企業が多く見受けられる。ITの重要性は理解しているものの、実際に導入しようとする際に、コストがかかり、企業にどのようなメリットがもたらされるのかがわからない、と考える経営者も少なくない。インターネットやe-コマースが世界的規模で浸透している中、従来の枠を越えた異業種からの参入が各分野で盛んになっており、既存のスタイルでビジネスを行っている中小規模の企業経営は厳しくなっている。ITを使いこなせる人材の育成が、企業の存続をも左右するほどの課題となっている。
■メディア産業界における人材戦略
Web制作事業者やソフトハウスなどのメディアを扱う企業の多くは、大企業ではなく中小規模の企業といえる。人材戦略に関しては、上記した人材の獲得や育成がその企業の将来を左右する。多くのビジネススクールにおいて、基本的な技術を習得し就職をしていく人材が多いメディア産業界での人材育成は、OJT(On the Job Training:職場内教育訓練)が主なものとなっており、職場内でのキャリアップを考慮した場合、監督者教育訓練などによって賄われる。実際、中小規模の企業内で経営陣として名を連ねる人物は、教育訓練を受けたというよりも、その人物の素養によるものや自己啓発の賜物といわれる能力を持った人物がほとんどであるように感じる。
■イベント紹介
(社)日本印刷技術協会では、特にメディア産業界に焦点を絞り、様々な環境変化により対応が求められる企業にとって理想とされる組織を「未来組織」と定義し、組織を支える人材の採用や教育に関する意見交換を行うシンポジウムを開催する。
<JAGATイベント>
「未来組織に向けた人材シンポジウム」
開催日:2008年11月10日(月) 13:00~16:30
場所:発明会館ホール(虎ノ門)
詳細は後日発表
JAGAT/HR事業推進プロジェクト