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キャンペーンの仕掛けや新サービスリリース、Webにおける戦略など、企業の販促事例・クロスメディア事例を中心に取り上げるXover Night(クロスオーバー・ナイト)の第2弾は、Z会のWeb戦略統括を務められる寺西 隆行氏に、同社におけるWebリニューアルの取組みについてお話を伺いました。
寺西さんは、もともと高校数学の教材編集を担当していて、メルマガを発行しているうちに業務でWebに携わるようになり、2008年にWeb全体の戦略統括を担当するようになったそうです。サイトのリニューアルは、「公式サイトをきれいにしたい」というWebマスターの要望を受けたことがきかっけに決断。リニューアル決定までには意思決定者との共通言語の問題(例えば、「CMSってナニ?」という上司と話をしなきゃいけないとか。)や、DM等に比べてWebでは費用対効果を表しにくい(DMだったら送った後のレスポンスがわかりやすい。)などの苦労がありましたが、「周囲を巻き込み、味方にする」ことで実現しました。
まず取り組んだのは、外部コンサルティング会社にWebサイトの診断を依頼して、自社サイトの弱点を明確にすること。Webをうまく活用できていないというZ会の弱点が明らかになった後に、情報発信力の強化やCMS導入などの基本戦略を立てて、7社に見積を依頼しました。すると、同じ依頼内容にもかかわらず、企業によっては数十倍の金額の差異が(しかも作業項目や作業量もバラバラ)。そこで依頼先を決定するために評価基準によって企業を選定することに。
選定は、1次段階として評価基準の中で最低限必要な条件を定めて何社かに振り分けた後、項目ごとに重み付けをする方法。 検討した項目は、費用はもちろん、担当者の迅速さや複数提案力、意思疎通努力など十数項目にわたっています。「公式サイトは企業の顔であり、顔のお手入れをしていない企業は信頼できない。」といった評価項目もあったそう(←これは女性であるWebマスターが重視していたそうです。いわく、お手入れをしていないのは信用できません!)。そして最終的にもっとも適した提案をおこなったロフトワークに決定しました。
サイト受注側は、発注側とコミュニケーションをとることで信頼関係を築き、上乗せしているリスク(=コスト)を減らすことができます。寺西さんは、発注側も受注側も「コミュニケーションコストを下げる努力をする、リスクヘッジが原因のコストアップを減らす」ことが大切だと強調。
当日は開始時間が19:00という時間にも関わらず、30名以上に参加いただきました。ちなみに配布資料もカッコ書き(穴埋め式)になっていて、皆さんが熱心にメモをとっていたのが印象的でした。
(文責:クロスメディア研究会)