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DITAとAdobe FrameMakerの連携 技術文書XMLの標準とドキュメント制作

掲載日: 2009年09月21日

※DITAとは、技術文書作成のためのXML構造を規定した国際標準である。DITAを利用したドキュメント制作・管理が国際的に進展しており、注目されている。

DITAとは、技術文書作成のためのXML構造を規定したものである。元々はIBMの社内文書を記述するために考案され、後に標準化機関のOASISによって、国際標準となった。
テキスト&グラフィックス研究会 では、DITAを利用してドキュメント制作・管理をおこなう手法について、日本ユニテック の天野忍氏に聞いた。


■DITAとは

DITAでは、個々のコンテンツをトピックという小さな単位で作成し、マップと呼ばれる目次で1冊のマニュアルを構成する。
従来からマニュアル向けのスキーマとしてDocBook、XdocBookなどが存在するが、DITAならそれらを一本化することが出来る。

また、DITAのためのフリーツールも数多く提供されており、導入が容易である。標準規格となったため、アプリケーション側でも積極的にDITAに対応している。

■Adobe FrameMaker

FrameMaker は、数千、数万ページとなる大規模な文書や論文を編集することに優れたDTPソフトウェアで、世界的な規模で導入・使用しているユーザーも少なくない。かつてはSGML、現在はXMLといった構造化文書にも対応している。
取扱説明書、サービスマニュアル、パーツカタログ、論文、あるいは政府のドキュメントなどでも利用されている。

FrameMakerは、もともとFrame Technology社の製品だったが、1995年以降はアドビが買収し、開発・販売をおこなっている。最新版では、eラーニングのアプリケーションと組み合わせ、Webで利用する教材コンテンツ制作にも対応している。

アドビのInDesignと比較すると、縦書きに対応していないなどレイアウトの自由度は低いが、目次、索引、相互参照、変数といった大規模文書を扱うための機能やXML入出力が充実している。

■FrameMakerでのDITA利用

FrameMakerには、DITAというメニュー項目があり、用途に応じてDITAトピックを作成することができる。トピックには、概念を説明するConcept型、作業手順を説明するTask型、コマンド一覧や参考情報を記述するReference型、用語集であるGlossary型などの種類がある。トピックとは記事の最小単位であり、1つタイトルに1つの内容があればいい。トピックを保存すると自動的にXML形式の文書となる。

トピックをマップでまとめて、さまざまな制作物を作成できる。数多いトピックの中から、マップを使って幾つかを組み合わせ、Aという文書を作り、また別のトピックを組み合わせてBという文書を作るということが可能である。

DITAのトピックはXML形式であるが、XML形式のデータには書式の情報はない。書式を反映させる方法として、2つ選択肢がある。1つはXSL-FOであるが、これを使いこなすには、かなりの専門知識が要求される。

もう1つがFrameMakerで、FrameMakerの書式、段落書式とか文字書式を、Wordのスタイルのように簡単に設定するだけで、簡単に表示や印刷が可能である。

FrameMakerでは、CSSを段落書式に変換することもできる。Web用のCSSファイルが用意されていれば、Web上で見せるものと印刷物について、ほぼ同内容で表示、あるいは印刷させることが可能である。

(※詳細は、JAGAT Info 2009年9月号、Text & Graphics No.286に掲載)

(テキスト&グラフィックス研究会 )
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