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11月11-13日にALPS協議会がデジタルマーケティングNEXT展へ展示、「1,000部カタログコンセプトを提案」する。
今までのオフセット印刷では、どうせ印刷するなら一緒ということで必要部数よりかなり多めに印刷してしまう事がほとんどだった。そのためどうしても内容が最大公約数的といった「帯に短し」的なコンテンツになってしまうという欠点も否定できなかった。もしカタログの発注単位を500~1,000部単位にできて、欲しい人にだけ渡すことが出来れば、コスト的&エコ的にメリットは大きいハズ?である。
印刷業界で「欲しい人にだけ!」というと、直ぐに購入履歴等のマーケティング手法が出てきてしまうが、TSUTAYAやAmazonでもない限りまともなアプローチは難しいのが現実である。TSUTAYAなどは20代の90%がTカード保有者で、その購入履歴などが、購入時間帯や場所までほぼ完璧に記録され、行動パターンや指向性が具合的に浮き彫りにできるようになっている。
ここまでデータが揃っていれば、トランスプロモだってOne to Oneだってやりたい放題、成功はほぼ間違いないだろう。仕入れ量だって意図的に調整できる。書籍、例えば週刊誌の見出しで正確な販売数を予測して仕入れ量(冊数)を変更することだって可能だ。都心、超高層ビルにあるコンビニでは天気予報によって弁当の仕入れ量を大きく変更するそうだが、女(おんな)心や秋の空に比べたら遙かに確率は高いハズだ。
ただしこの嗜好に合ったマーケティングというのは、デジタル印刷にとって最も可能性のあるキーワードであることは紛れもない事実である、と言うことだけは力説しておかねばならない。おそらくこちらがメインストリームなのだろうが、こちらの道は「印刷技術」「ワークフロー管理」「品質」という印刷業界が得意としているキーワードは二の次三の次で、一にも二にもマーケティングが命であるということが難しいのだ。
そんなエリートマーケティング例以外、普通のマーケティングレベルの場合はどうしたら良いのだろうか?そこで登場するのがデジタルサイネージだ。今まで配っていた人寄せカタログ的な内容はデジタルサイネージで行い、そこで興味を示した人だけに内容の濃い「1,000部カタログ」を配布するというアイディアである。
猫も杓子も含めて、撒き餌的にカタログを配れるだけ配ってしまい、その中で興味がある人間だけに(カタログ持参で来店したり、電話をかけてきたりという人だけ)特別な白黒コピーの追加資料等(デザイン的には?な品質)を渡しているのが現在の姿であるが、これを白黒コピーで渡していた高レベルの内容をデザイン的にもレベルの高いものにしてPODで作成すうものを「1,000部カタログ」と呼ぶ(呼ぼうじゃないか?!ということだ!)。そして従来の撒き餌的なカタログ代わりにはデジタルサイネージを使うというものが「デジタルサイネージ+1,000部カタログ」コンセプトである。
厳密に言えばパンフ的な撒き餌効果とデジタルサイネージは等価とはいえないが、量販店で撒き餌用のデジタルサイネージを置いておけばPOP以上の効果があることは間違いないし、関係ない客と関心を持った客との選別には多大な効果を発揮するはずだ。
もちろん1,000部の実際は500部くらいなのだろうが、語感の響きは1,000部カタログの方がずっと良い。印刷会社のビジネスにも合致するし、トランスプロモやOne to Oneの敗因はマーケティング手法の実力に尽きるわけだから、マーケティングが要らない出たとこ勝負の「撒き餌的デジタルサイネージ+1,000部カタログ」は印刷業界にはスッキリフィットするのではないだろうか?と思っているのだがいかがだろうか。
JAGATが主催しているデジタル印刷普及を目的としたALPS(ALliance for Print Solutions)協議会では、2009年11月11日〜13日東京有明のビッグサイトで開催されるデジタルマーケティングNEXT展で今回説明した1,000部カタログ提案を行う。詳細はJAGATからの様々な通知で露出していくので是非是非期待していただきたい。
文責:ALPS協議会 郡司秀明