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単なる検索技術ではない、「セマンティック」について(続き)

掲載日: 2009年11月03日

セマンティックが意味することは「膨大な情報」を、単に字面とおりにインデックスするのではなくて意味や文脈を踏まえて整理し、体系づけることにある。

(前回はこちら)

インターネットに氾濫する情報から得たい情報を得るには、ちょっとコツがいる上に、もしかしたら見つからないかもしれない、というのが現状である。その上で下記ページの記事をご覧いただきたい。

セマンティックWeb●次世代Web技術、登場! - キーマンズネット


セマンティックWebとは - ThinkIT


両者とも内容は似ている。(後者は登録せずとも最後まで読めるのでいいかもしれない)
細かいところ省いてしまえば、要はコンピュータに文脈を理解させれば人間は質問するだけで結果を得られる、ということであろう。検索スキルなんてものが必要ないわけである。人間が人間に質問するように、「表参道ヒルズから六本木ヒルズにはどうやって行けばいいんだろう」「歩いて行けなくはない」など。
そういった世界を体現しようというのが、セマンティック技術の求める姿なのだろう。

この記事のタイトルに「単なる検索技術ではない」と書いている理由だが、セマンティックが意味することは「膨大な情報」を、単に字面とおりにインデックスするのではなくて意味や文脈を踏まえて整理し、体系づけることにある。あとはそれをどのように使うか、である。検索エンジンには相性がいいことはこれまで書いたとおりだ。そのため、セマンティックについて解説されるサイトではだいたい次世代の検索について語られる。

また、海外ではかなり進んでおり、検索窓にて自然文検索できるエンジンも登場している。マイクロソフトも    Powersetを買収して「Bing」をリリースしたことは記憶に新しいのではないだろうか。

Microsoft の新検索エンジン『Bing』、予定よりも早くサービス開始 - japan.internet.com


しかし、膨大な情報が意味を含めて整理されているのなら、検索以外にも使い道はあるはずである。
例えばエンタープライズ用途(これも突き詰めれば検索だが)。社内文書や画像などの雑駁なデータベースから意図した情報を簡単に取り出せたとしたらどうか。また、それはイコール社内教育(eラーニング)用途やナレッジマネジメント用途にも効き目がありそうである。また、Amazonなどで有名なレコメンデーションエンジン(この本を買った人はあの本も買ってます)だって、もっと精度の高いものになりそうだ。「森ビルの歴史についてはこの本よりあの本のほうが詳しく書いてあります」とか。

つまり、単に新しい検索エンジンのための技術ではなくて、様々なサービスの基盤となる技術なのである。この技術をもって情報インフラが整えられるとすれば、どんなサービスを構築できるだろうか。


クロスメディア研究会11月拡大ミーティング
セマンティック活用のヒントを学ぶ ~日本におけるセマンティック技術の現在と未来~

 

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